パリだけがフランスではありません

第75回
家なしから2軒の家持ちになった犬

今の家に越して1年目の息子の誕生日、
犬が欲しいと言い出しました。
リヨンへ行ったり長期旅行は
ペットがいると面倒なので迷いましたが、
結局私たちも嫌いではないので飼う事にしたわけです。
でも「買う」つもりはありませんでした。

フランスにはSPAエス・ぺー・ア
(日本でいう動物愛護協会のような組織)という、
捨てられたり飼えなくなった犬や猫の面倒を見る団体があります。
SPAは各市に1ヶ所はあり、セネにもありました。
いつもペットの里親を募集していて、
そこで見つけたのが我が家の犬です。

白に黒の斑点が入った、
ホルスタイン牛のような模様と想像していただければわかる
雑種中型犬。
引き取るのに予防注射代として700フラン
(当時はまだユーロではなかったので)を支払いました。

連れ帰ってすぐ、主人は海岸まで行き放してやりました。
彼はひどくうれしそうにあちこち走りまわったけれど、
けして遠く走り去ることはありませんでした。
その時、彼の右後ろ足が少しびっこなのを発見しました。

その後5日ほど、
彼はワンともスンとも一声も発しませんでした。
これでは番犬にならないし、本当は声が出ないのかな、
と訝ったほど。
ところがある日突然、何がきっかけだったか忘れましたが
「ワン」と吼えたのです。
なんだ、ちゃんと声が出るじゃないのと安心しました。

いつかも書きましたが、息子の犬のはずですが、
結局毎日の散歩や餌やりは私たち、
主に主婦の役目になっています。
もう5年近く一緒に暮らしていますが、
彼(ベベールと言います)は
すっかり我が家の一員として定着しています。
何歳かはわかりませんが、すでに中年以上になっているでしょう。

どういう経緯でSPAに引き取られたのか知るよしもありませんが、
家なし犬だったのは確かです。
ところが今は我が家で朝食を取り、
2度目の朝食を両親の家まで一匹で出かけてもらって来ます。
帰りは義父が自分の犬と一緒に
午前の散歩のついでに我が家まで送ってくるというわけ。

ベベールは今では2軒の家持ち犬となりました。


←前回記事へ

2005年7月8日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ