パリだけがフランスではありません

第76回
ペットには受難の日々

バカンス期間中、ペットたち(特に犬や猫)にとっては
ありがたいようで、ありがたくない季節となります。

パリなど都会暮らしの犬たちにとって、
田舎の広々とした場所に移れるのはうれしいことです。
しかしその移動はけして楽々とはいきません。
車での移動だと、
炎天下の渋滞を飼い主と共にジッと耐えなければならないからです。
それに行き先(たとえば海外とか)によっては、
どこかに預けられる可能性も多いにあります。

一方列車には犬の「乗車券」があって、
ちゃんとTGV(フランスの高速列車)などにも
乗れるようになっています。
猫(猫連れの人も少なくありません)は、
一般的に手提げのような檻に入れて運ぶため荷物扱いなのか、
乗車券もなく無料です。

犬は首輪に引き綱をつけていれば、
ほとんどそのまま列車に乗せられます。
口輪をするような規定もありません。
フランスで犬嫌いの人がいないとは限りませんが、
大方は犬好きという点が
こうした状況を受け入れる土壌になっているのかもしれません。

ただいずれのペットも
他人に迷惑をかけるような行動が許されないのは当然です。
が、列車に人間と一緒に乗るような犬はみな良く躾られています。
いきなり吠えるようなこともないし、
多少人に揉まれてもおとなしい。
まして車内で阻喪をすること
(たまに事故はあるかもしれませんが)もまずありません。

我が家のベベール(なんと猫も一緒でした)を
初めてTGVに乗せたときはかなり心配しました。
普段はおとなしい犬ですが、
なにしろ「犬」ですから予想外の行動を取るかもしれません。
しかも5時間も列車に乗り続けなければならないし、
回りの反応も気になりました。

結果、途中の停車駅で一度外に出して用を足させましたが、
後は概ね私たちの足元におとなしく寝そべっていました。
時折座席に上がりたそうにしましたが、それはだめ。
犬は犬なのです。
彼のいかにも雑種らしい愛嬌のある風貌も
回りの人に親近感を与えたようでした。
当時5歳の息子をバタバタさせないようにするより
ずっと楽だったような気がします。

こうしてペットと共に
無事にバカンスの往復を過ごせれば良いのですが、
実は毎年バカンスも後半になると、
特に南フランスのSPA(第75回参照)は
迷子や道半ばで捨てられてしまったペットたちで
満員御礼になります。
どこの国にもそういった心無い飼い主がいるのは残念です。


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2005年7月11日(月)

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