国際結婚してフランスの田舎に住んで

パリだけがフランスではありません

第105回
「豊かな国」の矛盾

9月初旬、アメリカ南部を襲った大型ハリケーン「カトリーナ」。
彼女が残した爪あとを報道した映像を、
かなりな驚きを持って見ました。

想像を絶する広範囲の被害、
遅々として進まない救援、救出などなど。
これはいったい「豊か」といわれる国の出来事なのかと
目を疑ったからです。

実はフランスでも8月末に、
パリ南東部13区にあるビルが火災に遭いました。
そこにはアフリカ、特にセネガルやマリからの移民
(正式な移民もいれば不法滞在とされる人達も含む)が
主に居住しており、
子供を含む10数人を超える死者を出しました。

その建物は相当古かったようですが、
パリ市内には同じように
老朽化した劣悪な建物が少なくないと指摘されました。
実際そうした所
(特にアフリカ系移民が多く住んでいるわけですが)の様子は、
とても花の都パリとは結びつかない有様でした。

水道も電気もない、
といったらどう思われますか。
それが21世紀の文明社会、それも大都会の一角での現実。
本当に驚きました。
いずれも「豊か」と言われる国での現状です。

フランス政府はもちろん、
パリ市もこれを機に(今まで知らぬ振りをしていたわけですが)
慌てて住宅対策と
老朽住宅の安全対策に乗り出すことを宣言しました。

以前住んでいた「楽園」と称されるタヒチ。
ここも時が進むにつれて貧富の差が顕在するようになりました。
かつて家や敷地を囲う塀はなく、
そこにある食用になる木の実を誰が取っても
文句を言う人はいませんでした。
ところが自然より「豊かさ」に価値が置かれるようになり、
徐々に変わっていきました。
私たちが島を出る頃、
それまで存在しなかった物乞いも現れたのです。

世の中の現象はそれほど一面的でも単純でないのもわかっています。
でも、今まで疑いもなく信じていた「豊かな国」とは何なのか。
最近の出来事から、
何が「豊か」なのかという質問をつきつけられた気がしています。


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2005年9月16日(金)

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