国際結婚してフランスの田舎に住んで

パリだけがフランスではありません

第108回
フランス人女性のおしゃれ 2

前回はフランス人女性でも、
誰からも注目される女性のおしゃれを取り上げました。
しかし一般的にフランス人女性であれば
みな完璧な「おしゃれ」かといえばNONです。

いや、「自分のおしゃれ」という意味ではみなそれを目指しているし、
そうなっていると思います。
それは誰の目からも素敵かどうかは別ですが、
他人からの批評など気にしないのが普通です。
ただ、その場にふさわしい服装、
つまりTPOを心得た服選びができる人は、
より良く人の目に映っているのは確かなようです。

我が家の近所に、
60歳そこそこのお洒落な一人暮らしの女性が住んでいます。
彼女は4年ほど前御主人と離婚し、
新たにここに家を買って引越してきました。

私がコンピューターに向かっている窓からは、
道行く人が良く見えます。
都会ではありませんから、
家の前を通るのはみな田舎の散歩を楽しむ人達です。

最初に彼女の姿を見たのは、今よりもう少し秋も深まった頃。
都会的な服に合った帽子をおしゃれに被り、
赤い首輪をつけた黒のテリアに
赤いレインコートを着せて引き綱を持ち、
ヒールのある靴を履いていました。
この辺では見かけない人だったし、
ここには似合わないスタイルにも少し驚きました。
それから毎日、町中を歩くにふさわしい
お洒落な彼女と犬の姿を見るようになりました。

時が過ぎ犬の散歩の途中で話をするようになり、
先の彼女自身のこと、洋裁が得意だというのを知りました。

ところが今彼女は、最初に大感激していた風景や静けさ、
ここの人達に対して批判的になっています。
その理由は「田舎」で話せる友達がいなくて退屈、というもの。
ここでは合う人がいないわけですが、
見方を変えると、彼女が「浮いている」ともいえます。

そう、彼女のおしゃれは都会、町中にふさわしいもので、
はっきり言って石ころだらけの小道の散歩道には似合っていません。
ここでは踵の高い靴もフレアーのたくさん入ったスカートも、
まして犬の服など無用だからです。

ある時、彼女をヴァンヌの街角で見かけました。
同じような傾向の服に身を包んだ女友達と一緒でした。
町の景色にはまっていたし、
気取った犬もそれなりに似合っていました。

「服」はその人そのものだから、
ガラリと傾向を変えるのは難しいでしょう。
結局、彼女は暮す場所を選び違えたのかもしれません。


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2005年9月23日(金)

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