第280回
「ガンが治っても不幸せでは意味がない」
東京女子医科大学附属
青山自然医療研究所クリニック所長・川嶋朗医師の
新刊「見えない力で健康になる」の紹介の続きです。
本書には医師の視点からではなく、
あくまで悩める患者の視点から、
病気は「患者自身の自力で治すことができる」
ヒントがたくさん詰まっていますから必読です。
たとえば、「病気を治すヒント」の章の
「たとえガンが治っても
不幸せでは意味がない」という項目には、
乳がんの手術を自らの意思で断って、
納得して人生を全うした患者さんとのことが
しみじみと綴られています。
≪結局、彼女が手術を受けることはありませんでした。
そして、1年半後、きれいな姿のまま、
彼女は亡くなりました。
彼女の死は、医者としていまだ不本意です。
でも(略)手記には「まったく悔いはない」という言葉で
締めくくられていました。(略)≫
≪彼女の死は私に、たとえ不本意であろうと
医者のエゴを患者さんに押しつけてはいけない、
という事を肝に銘じさせてくれまっした。
医者が患者さんに対して
「自分はこの人をこうしたい」という気持ちと、
患者さん本人が
「こうしてほしい。こう死んでいけたら幸せ」
という気持ちは違うんです。(略)≫
こんなに素直に、患者と医師の関係を語る本が
これまでにあったでしょうか?
ガンを切るか、切らないか?
それ自体になんの優劣もありませんが、
問題は、患者が「わが身のいのちと、
人生の過ごし方」をどう考えるか?
すべての治療選択のポイントはここにあるというわけです。
「患者自身の幸福感」が第一というわけです。
僕自身、手術の難しい食道ガン治療をことわって
「ガンを切らずに12年」という幸運を得た身でしたから、
人生の選択にわがままを通してきた患者としては
思わず、身を乗り出すようにして読んでしまいました。
あなたならどう感じるでしょうか?
|