誰が日本をダメにした?
フリージャーナリストの嶋中労さんの「オトナとはかくあるべし論」

第51回
オンナと機械オンチ (その一)

政界に長く身を置いていると、
どうしてみな権力欲にとり憑かれたような
顔になってしまうのだろう。
現参議院議長のO議員も例外ではない。

36年前、テレビCMの中で、
「私にも写せますゥ」
と8ミリカメラを回しながら婉然と微笑んでいた頃のO女史は、
愛くるしく色っぽかった。
その艶めいた顔と、
無能な官僚たちを叱り飛ばしている
現在のおっかない厚化粧のオバさんの顔とが、
どうしても重ならないのだ。

変わり果てたO女史のことはさておき、
この元女優を起用したフジカシングル8のCMは
「マガジン、ポン!」の合い言葉とともに大ヒットし、
ホームムービー時代の幕開けを告げることとなった。
当時、8ミリカメラのフィルム交換はややこしかった。
その煩雑なフィルム交換が
マガジン方式によってみごとに解消。
ポンと装填するだけですぐ撮影できるようになった。

女性向きに作られた製品で操作が煩雑なのは致命的だ。
なぜって、機械は女性の天敵だからである。
ワンタッチ、ツータッチまでなら対応できても、
それ以上になると頭の中が真っ白になって、
理解不能に陥ってしまう。
で、決まって口をついで出てくるのが、
「あたし、機械オンチだからわかんな〜い」
である。
「機械オンチ」というのは便利な言葉だ。
男が使っても大した効果は望めないが、
女が使うとてきめんで、男たちはすぐ納得してくれる。
おまけにちょっと可愛い子なら、
「どれどれ、俺が見てやるよ」
と救いの手まで差しのべてくれる。

女の機械オンチなら公認で、
男のそれが非公認というのは、どう見ても不公平だが、
女が機械に弱いことは、今や世界共通の認識になっている。
このことは女の不名誉であろうが、
「むずかしい機械のことは殿方に任せておけばいい」
と汚名返上に動く気配はまったくない。
お互い同じ「種」なのだから、
極力その差をゼロに近づけましょうと唱える
過激なフェミニストたちも、
この時ばかりは沈黙し、弱い(頭がか?)女を前面に出して
男の肩にしなだれかかる。

むずかしいことは男に任せ、
でも注文だけはいっちょまえにつけたがる。
そのくせ形勢が不利になると途端にか弱い女に変身する。
これではちょっと虫がよすぎやしないか。
電気にも機械にも弱く、女になり損なってしまった私には、
そのことがうらやましくてしかたがないのである。


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