誰が日本をダメにした?
フリージャーナリストの嶋中労さんの「オトナとはかくあるべし論」

第56回
痩せ女、大っきらい (その二)

新聞に、若い女性たちの極端なダイエット志向に
警鐘を鳴らす記事が出ていた。
厚生労働省の国民栄養調査によると、
「ふつうの体重」と判定された十代の女性のうち七割が、
自分のことを「太っている」と感じているそうだ。
女子高生ともなると、
その九割が「痩せたい」願望をもっていて、
朝食を食べない娘たちが年々増えているという。

「骨の貯金って聞いたことあるか?
 お前たちは今、その大事な時期なんだ。
 身体の成長期にしっかり栄養を摂っとかないと、
 大人になってから冷え性や生理不順に悩むことになる。
 いいか、今、丈夫な骨を作っとかないと、
 ばあさんになってから骨粗鬆症になっちまうんだぞ。
 骨がスカスカになって、足腰立たなくなるんだ。
 怖いぞ……おい、聞いてんのか?」

60年後、70年後の話をされてもピンとくるわけがない。
18歳が女の盛りのピークで、
あとはばあさんへの道を一目散に転がり落ちるだけ、
という認識の娘たちである。
ばあさんになって骨がスカスカになろうが、砕け散ろうが、
知っちゃあいない。
大事なのは今というかけがえのない時間で、
本日ただ今この時に、
ハンサムな彼氏から「君は美しい」
と一言いわれたいがために生きている。

その栄えある瞬間を夢見て、
世の若い娘たちは朝食抜きダイエットやら
水飲みダイエットやらにせっせと励んでいる。
で、その成果がたとえばの話、
身長160センチで体重44キロのプロポーションというわけだ。
ちなみにこの体重は、日本の若い女性たちの多くが
160センチの身の丈にふさわしいと考える理想の数値だそうで、
アメリカ女性のそれと較べると10キロほど少ないという。
日本の女性はどうやらガリガリに痩せた針金女を
「美しい」と感じているようなのだ。
これこそツイギーの祟りといわず何と言おう。

160センチで44キロ?
体重だけなら、半年ほど前の私の体重の半分である。
大風でも吹いたら、
たちまち洗濯物みたいに飛ばされてしまうだろう。
ムダだとは思うが何度でもいう。
つくられた痩せは美しくない。
痩せは不健康だ。太めこそが美しい。
三段腹はセクシーだ。


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