誰が日本をダメにした?
フリージャーナリストの嶋中労さんの「オトナとはかくあるべし論」

第114回
妻は夫をいたわりつ……

人間50年もやっていると、
いかな小市民でも、小ぶりな人生観くらいは持てるものだ。
それに恥ずかしながら、小人は小人なりに若干の知見も得た。
いや回りくどい言い方はやめよう。
私の言いたいことはこうだ。
家庭の秩序を保つには一家に大黒柱が必要で、
その柱は母親よりも父親のほうがふさわしいと。
こういうと、
「戦前の封建的な家父長制度の復活か」などと、
パブロフの犬みたいに過敏に反応し、
柳眉を逆立てるおっかないおばさんたちが
必ずしゃしゃり出てくる。

周囲を見回してつくづく思うのは、
父親の権威が弱い家庭は例外なく問題を抱えているってことだ。
A家は長男の数年にわたる家庭内暴力に苦しみ、
B家は一人娘が中学のころから荒れ出した。
派手な化粧に派手な服装。
やがて無断外泊から非行へと
お決まりの転落コースを辿っていった。
C家ときたら、
中学生の息子が父親の前で煙草を吸っているというのに
注意すらできない。
あろうことか「外では吸うなよ」とおっかなびっくり忠告し、
子供部屋にわざわざ灰皿を置いてやったりする。
こいつはバカか、と私は思った。

以上は母が強く父が弱い家の話だ。
もちろん独断と偏見で書いている。
私はなにも「地震、雷、火事、おやじ」
の復活を願っているのではない。
女房子供を睥睨するような権威主義的なおやじなど、
私だってごめんなのだ。
現に私の両親は、見かけも蚤の夫婦で、
実権は父ではなく母にあった。
しかし母は、ことあるごとに父を立て、
公の場でも父を立てることを忘れなかった。
父の権威は作られた権威で、
「父親は偉い」という台本のもと、
家族ぐるみでひと芝居打っていたのである。
家庭の秩序を保つために、そのことが有効だったからである。

子供の前で夫の悪口をいったり、
夫のパンツを箸でつまんだりしている妻は、
たとえ才気あふれる女であっても、要するにバカなのだ。
家庭内の秩序というものが
どのようなメカニズムで形成されるものなのか、
少しもわかっていない。
夫を立てることが、それほど妻の沽券に関わることだろうか。
夫を小バカにし、才気を見せつけることが、
近頃はやりの「自己実現」というものの正体なのだろうか。
曲がりなりにも「夫唱婦随」は、家庭内秩序を保つための、
人類数十万年の知恵だと思うのだが、
こんなことをいう人間は、封建制の遺物なのだろうか。


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