「骨董ハンター南方見聞録」の島津法樹さんの
道楽と趣味をかねた骨董蒐集の手のうち

第95回
商品学(チベット・ネパール編)
皇帝のパオII―インド人に優るカトマンズっ子IT人種

鳥文刺繍裂地

布は陶器やブロンズの間に詰めて
クッションの代わりにして運んだ。
そんなふうにパオをしばらくカトマンズで買い付けた。

目的を持って買い付けると色々な事が見えてくるものだ。
1年もすると皇帝のパオは
アメリカ、ヨーロッパのディーラーが匂いを嗅ぎ付け、
すぐ厳しい争奪戦となった。
見る見る値上がりし、1着60万から70万くらいするようになった。
ここで仕入れたパオを
彼らはササビーやクリスティーズに出品したようだ。
そこでは2、3万ドルの値段がついていた。
もう少し腰を入れて
テキスタイルをやっておけばよかったと今では悔やんでいる。

取引の時々に観察したネパール人のことを紹介しよう。
インドへ行くと
ものすごい桁数の掛け算を暗算でやる人が極まれにいる。
日本人はインド人はみな数字に強いと思っているが
そんなのはほんの一握りだ。
僕が見たホテルのウエイターは
ちょっとした掛け算は全部足し算でやっていた。
それに対してネパール人のウエイターは非常に賢く、
二桁くらいの掛け算や割り算は殆ど暗算で済ましていた。

それに大国ではないからとてもマナーがいいのだ。
IT産業など大して設備もいらないし
ケーブル一本引っ張ればどこでもやれる仕事だと思う。
カトマンズでIT産業を起こす人はいないのだろうか。

正しいパオの見分け方。
本物は
1、草木染の為古くなっていても
  緑などはさらに色が鮮やかになっている。
2、手織りなので折り目が器械織りよりは柔らかい。
3、刺繍が緻密で絵画的に優れている。
4、折り目の擦れがやや白くなっている。
5、労力をまったく厭わないコストを無視した細かなつくりである。

―プロの極意―
見ていて呆れるほど人手をかけ、
いいなあと思うようなものが本物。
このコツをつかんで下さい。
色々な見方はあるが、織物はなかなか難しいよ。
いいものをしっかりと沢山見て勉強すること。

五爪龍刺繍裂地

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