ついでに申せば、香港の中華料理屋は"酒家"という名前がついているけれども、料理を売っているところで、酒を売っているところではないから、酒の持ち込みは自由である。申し訳に氷代といった名目でお金を取るところもあるが、フリー・オブ・チャージというところも多い。この時も、ジョニー・ウォーカをニダースと、ヘネシーのブランデーを二ダース持ち込んだが、半分くらい蓋も開けずに返ってきた。どうせお客の物だし、無理にすすめても売上げがふえるわけではないので、要らないと言われれば無理強いはしないものとみえる。それをみても、香港の人がそんな大酒飲みでないことがわかる。

結婚式当日の記念写真


香港の結婚式でもう一つ煩わしいのは、宴会の前に麻雀の席が用意されているために、定刻がきてもなかなか宴会がはじまらないことであろう。また喜びのしるしとして、宴会の途中で耳を塞ぎたくなるほど喧しい音で爆竹を鳴らすことであろう。それがまた三十分も四十分も続き、終わって請求された金額が当時の日本円になおして金三万円だった。三万円を銅貨か餅にしてビルの上から投げたほうがどれだけ通行人から喜ばれたことだろう。しかし、これらはすべて土地の風習からくるものであり、そこまでは私も覚悟していたから、ガマンができた。
ところが、披露宴の席上に大衿(タイカム)というやり手婆さんのようなバアさんがのさばっていた。大衿というのは、結婚式の時に挨拶一つできない花嫁の代わりに食卓から食卓についてまわって、「さあ、皆さん、どうぞお酒をしっかりほしてください」と言ってまわる係のことである。また結婚式が終わると、花婿の家までついてきて、お茶を入れたり、花嫁の足まで洗ってくれる。花嫁がまだ何もできない年頃ならいざ知らず、そんなバアさんは不必要だと私は言ったが、家内のおふくろさんは自分の嫁入りの時もそうしたのだから、娘の時にもそうすると言ってきかず、わざわざ高いお金を出して大衿をやとってきて、私たちについてまわらせた。
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