人の心に訴える話し方を
そこでどうやれば「短く、要領よく」スピーチができるか、ふだんから習練を積んでおく必要がある。
世の中には、友達とはいくらでも平気でペラペラ喋ることができるのに、壇上に立ったり、公衆の前に立つと、とたんに失語症にかかったのではないかと思うほど、あがってしまう人がある。そういう人は、私が何千人を相手にしてもふだんと同じように喋っているのを見て、「どうしてそんなことができるのですか?」と不思議がる。私は「わけはないですよ。一人の人と話をしているのと同じようにやればいいのですから」と答えるが、誰も素直には受けとってくれない。
文士仲間にもスピーチの下手なのがいて、文芸講演など頼まれて、やむを得ないので、聴衆の中でよく頷いてくれる人を見つけてその人にだけ話をするつもりで話をしたら、うまくいったという人がある。昔のように、スピーカーもなくて、大きな声を張りあげたり、ゼスチュアを大袈裟にやったりしなければ、公衆に訴えられなかった時代には、エロクエンス(雄弁術)という学問まであったが、昨今のようにタンタンと喋っても、ブラウン管を通じて全国の視聴者に訴えることのできる時代には、一人の人の心にしみるような話ができれば、それで万人の心に同じようにしみるから、どうやれば、一人の人の心に訴えられるかを心がければ充分、間に合うのである。
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