人間が寝るために使う時間は、実際に睡眠におちいっている時間の長短にかかわらず、また個人差、年齢差のあるなしにかかわらず、ほぼ人生の三分の一と考えてあまり大きな誤差はないであろう。
とすると、あとの時間のうちで、仕事の占める時間はどうなるか。実働仕事は別として、会社の規定する出勤退勤の時間から割り出していくと、午前九時に始まって、午後五時に終わる最もヒマな企業の場合でも、少なくとも八時間はとられてしまう。実際には、規定の出勤時間より三十分も早く会社に到着している人は多いし、またそれが上司に覚えのよくなる方法の一つであると広く信じられている。退勤時間も、五時と規定されているが、五時きっかりに帰れるのは、使い走りの女の子くらいなもので、営業部員でも秘書課でもたとえ残業にならなくとも、一時間やそこいら遅くなるのは常識であろう。とすれば、会社にいる時間は八時間ではなくて、九時間か十時間になり、残す時間はあと六時間か、七時間しかなくなってしまう。
朝、起きてから顔を洗い、トイレに行き、朝刊を読み、テレビのニュースをきき、朝食を食べ、という時間を割り振っていくと、用を足しながら朝刊を読むとか、朝食を食べながら、ニュースをきくとか、いわゆる「ながら族」にならないサラリーマンはまず一人もいないことになる。
そのあと、家を出てから会社に着くまで、と、逆に会社から自宅までの往復に三時間か、四時間とられたら、一体どういうことになるであろうか。大抵のサラリーマンは、財布の中身と相談で、勤務先から片道一時間半も二時間もかかるところに居を定めているが、これでは寝る時間か、通勤する時間を短縮するか、それとも通勤電車の中で立ったまま寝る練習をするよりほかなくなる。あなたならいったいどちらを選びます?
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