職住近接のすすめ
以上は、優柔不断なサラリーマンに対する私のアドバイスであるが、私自身はずっと以前から、「職住近接」を実行してきた。もともと作家稼業は住宅兼工房兼営業所みたいなところからはじまるが、少し成功をして、金銭的な余裕ができたら、ホテルで原稿を書くようになる人もあれば、他に書斎をかまえる人も出てくる。私の場合は、作家からコンサルタント業務へ広がり、さらに実業へ足を踏み入れたので、他に事務所をつくって、そこへ通勤するようになった。
最初の頃は、自分で車を運転したが、片道に三十分間かかり、往復の時間がいかにももったいなかったので、車中の時間を仕事に使うべく、運転手をやとった。運転手がおれば、運転に神経を集中させなくてすむから、読書するなり、物思いに耽るなり、あるいは、原稿書きに時間を使うことができる。しかし、忙しくなればなるほど時間が大切になり、毎日の一時間が惜しくなったので、とうとう家を五分間で到着する至近距離に移してしまった。
私の場合は、人に使われているわけではないから、家に近いところに仕事場を移すこともできたが、仕事場のロケーションのほうを重視したのである。
「職住近接」になれると、二度と再び郊外に住む気にはならない。車で五分で行けるところに住んでみると、「お客が見えましたよ」と電話がかかってからあわてて家を出ても、「ハイ、お待たせしました」といって応接間のドアを開いてお客に会うことができる。よく勤務先から、三、四時間もかかる遠距離に住んでいて、会社の合理化推進委員をつとめている人があるが、私はそういう人の意見はあまりまともにきかないことにしている。
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