「勝てば官軍」といわれるように、装備の悪いゲリラだって時流に乗り正規軍を圧倒して勝利をおさめれば、そのいい分が正しかったことになる。
しかし、人が本当に情熱を傾けて仕事のできるのは、体制的に批判的な時であり、第三者から見て魅力的なのも反体制派として苦労している時である。たとえば中国四大奇書の一つに数えられる「水滸伝」は時の政府に不満を持つ叛徒が梁山泊に集まって官軍と戦う小説であるが、叛徒であった間のゴロツキやヤクザの一人一人の性格や奇行が実に鮮やかに描かれていて思わず手に汗を握るが、叛徒の親分宋江が降伏して体制派に寝返ってからは、これが同じ著者の書いたものかと疑いたくなるほど退屈きわまりないものとなる。
私は「西遊記」の現代版を書いたこともあるし、「水滸伝」の現代訳もやってくれないかと度々、依頼を受けたことがあるが、いまだにその気になれないでいるのは、この小説に途中で話が二つに割れるという致命的な欠陥があるからである。話の割れ方から受ける印象にも明らかな通り、人間、反体制派である間はキラキラしているが、体制側についてしまうと途端に精彩を失ってしまう。だから、野心家としては万年、反体制派の側に立って、世間の常識に挑戦する立場を貫くにこしたことはないのである。
<来週に続く>
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