何しろ離婚のたびに、財産は少なくとも折半して別れた妻に引渡さなければならないし、また住んでいる家はほとんど例外なく妻のものになってしまう。私などアメリカで時々、アメリカ人に紹介されるが、一年たって行くと、また違う奥さんを紹介されたりする。「畳と女房は新しい方がよい」と言うが、実はそのたびに財産を半分に割ることが行われているから、アメリカの経済が不穏な状態におちいるのも無理はない。私たちは経済を国家単位で考えがちだが、国家経済を形成する細胞ともいうべきものは家庭経済であろう。その家庭経済を煉瓦を割るようにまた二つに割り続ければ、企業の経営をやっている人だって安心して仕事は続けられないであろう。
そこで、愛が芽生えて一緒になりたいという気を起こしても、別れる時にまた財産を半分持って行かれてはたまらないという気持ちが働く。だから万一、結婚をしようという気になっても、「将来、離婚した場合は、お互いに損害賠償を要求しないこと。各自の稼いだものは各自の所有とすること」といった契約をしないとうっかり結婚もできない。
また夫婦になってから家や自動車や家具のような値嵩の家産を購入する時は、これはどちらのカネで買ったものであるというサインを残しておかなければならない。これから新家庭を持とうと考えている時に、こんな水臭いことができるのか、また夫婦間の信頼関係なしに、共同生活ができるのか、最近のアメリカ人のおかれている立場と、日本における離婚の増加を考えあわせると、とても対岸の火事とは思えないところがあるのである。
次善の策として、結婚をする代わりに同棲をするカップルがふえたが、同棲していたハリウッドの俳優さんの別れ話に、女の方が慰謝料請求の裁判を起こした。結婚もしていないのだから、慰謝料の請求はしりぞけられたが、本人が立ちなおるまでのリハビリテーション・フィを十何万ドル払えと裁判官が命じた。おかげでテンヤワンヤになり、同棲も安全じゃないと海の向こうは大騒ぎになっている。
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