その理由として考えられる一番大きな変化は何といっても、平均寿命が伸びたことであろう。人生五十年といわれていたのが男は七十四歳、女は七十九歳まで生きるとなれば、女にとっては五十歳からあとまだ三十年も残っている。子供が育って一人前になって、孫が生まれた頃には、もう余生いくばくもないとわかっておれば、少々くらいの不満があってもガマンをするが、一緒に暮らしてきた時間と同じ長さか、それ以上の時間が残っているとすれば、積年の恨みつらみが爆発して、解放された気分になりたいと考える女の人が多くなるだろうことはわからないでもない。
しかし男の立場からすると、一生、養ってやったじゃないかという気持ちがあるし、何十年も一緒に暮らしてきたのだから今さら、血も涙もないようなことをいうなという甘えもある。
まして台所は女房に預けっぱなしで、靴下の置き場も、靴の置き場もわからなくなった亭主にしてみれば、年をとって一人取り残されることには抵抗がある。したがって日本ではまだまだ離婚については「女の自由」の前に、高い高い障壁が立ち塞がっているのである。
「中国人」というニューヨーク・タイムスの前支社長によって書かれたルポによると、人民共和国における離婚は当時者だけでなく、組織の同意を得られないと全く不可能だから、障害は想像を絶するほどである。一ぺん、離婚した女は生涯、世間から偏見を持って見られるようになるから親も身内も反対する。こういう障害を見せつけられると法律や周囲が阻止するのではなくて、原則は自由という環境の下で生きながら、なおかつ結婚を長持ちさせる新しいルールを自分たちでつくる必要があると改めて痛感させられる。
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