愛情は小出しに使いましょう
では結婚生活を長持ちさせるにはどうしたらよいだろうか。昔に比べて離婚が多くなったのは、平均寿命が長くなったこととも関係があるが、世の中が豊かになって女が路頭に迷わなくなったこととも関係がある。とくに女の職場が広がって、女に経済力がつき、その分だけ女の発言権が強くなったことが影響している。また離婚に対する偏見がなくなって、結婚に失敗した人々が男女を問わず、新しくやりなおすことに世間が寛大になったことも、世の中を住みやすくしている。
しかし、これから結婚しようとする人で、「なあに、失敗したらもう一度、出なおせばよいさ」とちゃらんぽらんな考え方で新婚生活に入る人はいない。どうやって結婚生活を長持ちさせるかは、古くて新しいテーマであり、結婚披露の宴上で、先輩にあたる人たちが先輩ヅラをして取りあげる問題でもある。ある時、私がうちへ出人りする若いカップルの仲人を頼まれてホテルに行ったら、入り□で参列者の名簿の第一頁目に何か書けといわれた。
咄嗟のことで、私が書く言葉に窮していたら、ホテルの宴会係が「寿という字でもよろしいんですよ」と脇から口を出した。「いや、物書きをしているんですから、そうもいきませんよ」
といいながら、なおも考え込んでいたら、うちの女房が「互譲、互助、互愛、と書いたらいいじゃありませんか?」としきりに催促する。なるほど平凡な人生にとって、それはいい言葉かもしれないなあ、と自分にいいきかせながら、「互譲」と書いたが、「譲る」という字を書くのは久しぶりだなあ、と思った。ひょっとしたら、女房は私に教訓を重れるために、こんな字を書かせたのかもしれないぞ、とあらぬところにまで気をまわしたりした。
平均寿命が延びて、あとまだガマンのならない日がエンエンと続くとなれば、ガマンするつもりだったこともガマンする気がしなくなる。しかし新婚の門出に、お互いに相手に譲る気持ちを持っていたら、どんなに長い退屈な人生でも何とか乗りこえて行けるのではあるまいか。
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