"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第22回
東瑞製薬

中国視察では東端製薬も視察してきました。
今回の訪問では工場を見学できただけでなく、
今後の事業展開を総裁に直接聞くことができ、
また財務的な裏付けを会社の財務総監からも取れました。
その際、ここのところ良く言われる、
薬品価格引き下げなど、
中国製薬業界への政策的な規制について話しが出ました。

この政策的な規制とは主に以下の4つです。
商業賄賂の取り締まり
薬品安全検査の強化
新薬認定の制限
薬価のコントロール

これら政策の目的は、
高齢化社会を迎えて、国民に安価で安全な、
品質の高い薬品を提供するということが第一でありますが、
これは同時に「業界の淘汰・清浄」
という再編にも繋がることになるでしょう。
現在中国には4000を超える製薬会社があり、
その多くは自前の研究機関も持たず、
甘い審査や賄賂でパスした薬を
高値で売っていた所もある業界です。
4000企業全部足してもアメリカの
ファイザー1社の遥か下の売上であり、
第2の目的は、
これらの中から競争に勝てる大企業が
M&Aなども経て育っていくことではないかと思います。

実際のところ、
薬品検査時に1億円の収賄が明るみになった
中国食品薬品監督局長に死刑が確定したり、
東瑞製薬を始め多くの製薬会社にとっては
低く抑えられた薬品価格が粗利益率を押し下げ、
昨年の売上微増&減収という結果になるなど
多くの影響が出ています。
全国の医薬業界では30%の製薬企業が赤字に陥ったことを見れば、
東瑞製薬の業績は、高総裁いわく、
「予想以上に健闘した昨年」
という評価もできようかと思います。 
これから利益の出ない製薬会社は
どんどん潰れるか吸収されていくでしょう。
残る会社とは自前で研究開発を行い、
厳しい新薬認定を賄賂なしにパスし、
かつ欧米基準の品質管理を持つ企業が条件であると思います。

これらを満たしている企業の1つが東瑞製薬であり、
現在は改革期の痛みを伴って減益となっていますが、
短期的な業績で低迷している株価を、
将来の(成長するであろう)企業価値で測ることが
投資家にとっては重要では、と考えます。

 
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2007年8月23日(木)

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