"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第60回
急成長中の中国の広告市場

ざっくりと日中広告市場を比較しますと、
10年前の中国広告市場は日本の10分の1でした。
それが4年ほど前には4分の1になり、
昨年は日本の4割のサイズ(2.5分の1)と急成長しています。

昨年の日本の広告市場は5兆9954億円でしたが、
それは10年前の97年の市場規模より少なくなっています。
一方、中国広告市場は毎年2桁成長してきましたが、
さらに北京オリンピックに向けて
加速度が倍増していくところです。

日本のGDPは約500兆円、
中国は300兆円を越えましたが、
2012年過ぎには逆転すると思われます。
日本の広告費は過去20年来、
大体GDPの1.0〜1.2%の間で推移してきましたので、
中国も大衆消費が成熟して
GDPが1%に行くとすれば、
4〜5年後には現在の2倍となる
5兆円市場になると予想できます。

しかし単に巨大市場が出現することだけでなく、
中国と日本の特殊性も考慮に入れないといけません。
北京や上海を旅行すると、
空港から市内までのタクシー、
または街を走っていても
夥しい数の賑やかな看板広告に驚かされます。
日本に帰国して空港から街へ戻るとその差が再度認識できます。

パリに居ればバス停やメトロで
次々とページが変わる鮮やかな広告が印象に残っていたり、
ニューヨークだとタイムススクエアの
これでもかというような派手な広告の洪水、
香港では街を走る2階建てバスの側面全てに
視覚を刺激する広告を見ることができます。
またアメリカに住むと、
広告で埋め尽くされた分厚い電話帳、
また毎日郵便受けが一杯になるほど送られてくるDMの山に
うんざりすることになりますが、
アメリカではDMによる広告シェアが日本の4倍もあるのです。

中国も基本的にこれから
テレビ、ラジオ、新聞が
広告のリーダーになるのは間違いないですが、
屋外広告は日本に比べてうんと大きなシェアになると思われます。

このようなお国による文化の違いもあり、
中国の屋外広告は市場全体の17%で、
現時点ですでに4%台のシェアしかない日本の屋外広告の
1.5倍も大きな市場なのです。
しかも屋外広告市場の伸び率は
広告市場全体の伸び率を上回っており、
そして屋外市場平均よりもさらに高い成長をしているのが、
バス停スポットでの広告シェアナンバーワンの
白馬戸外媒体ということになります
(屋外広告市場は大きくわけて、
看板、交通機関、ストリート
(ここに白馬戸外がメインにしているバス停が入る)
に3分割できます)。
寡占が広告市場規模の拡大とともに進むのは
これまでの先進国の実例です。

これらから、
「中国の広告市場はあと5年で日本を抜いて2倍になる、
その中で屋外広告は高い伸びをみせ、
トップシェア企業はさらに2位以下を引き離して伸びる」
という仮説が成り立ちそうです。

 
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2008年1月3日(木)

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