"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第65回
アイバンホは6月に買いを検討すること

ドバイから戻ってきました。
今回は噂のアブダビ投資庁の元ファンドマネージャーから
色々とお話をお伺いしたり、
イスラム系金融銀行の役員と打ち合わせをしたりと
色々なことがあって、非常に収穫の多い視察となりました。

ということで、
早速このドバイネタを色々と書いていきたいところなのですが、
ちょうどドバイから戻ってスグに、
モンゴルから友人が日本にやってきました。
ドバイから戻ってすぐに体調が悪くなり、
寝込んでいたのですが、
フラフラに成りながらも、なんとか出かけたところ、
少し面白い話しが聞けたので、
今回、ドバイ話は一回休みでモンゴル話を少ししたいと思います。

モンゴルでは08年6月に選挙があります。
現在の与党は人民革命党です。
しかし、汚職が多く、
今回の選挙では
野党第一党の民主党が勝つ可能性が高いのではないか
と言われています。
そこで、考えたいのがアイバンホという銘柄です。
同社はカナダの鉱山会社ですが、
モンゴルでの資産が同社全体の65%程度を占めています。
中でも、まだ生産されていない鉱山としては
世界最大の量の金が埋蔵されているといわれる
オユ・トルゴイ鉱山の将来性が期待されています。
ちなみに日本では、
楽天証券で米国株(ADRではない)として買うことが出来ます。

しかし、アイバンホは、
モンゴルの前首相との間でオユ・トルゴイ鉱山の開発に関して、
モンゴル側に利益の34%を渡すことでいったんは合意したものの、
国会の審査は通っておらず、開発がスタートしていません。
そして、このゴタゴタが嫌気されて株価はやや軟調気味です
(むろん、正式合意となり、
開発がスタートされれば、株価は上昇することが期待されます)。
しかし、野党やモンゴルの国民は、
現在のアイバンホとの取引条件に反発しています。
理由は、ロシアなどとの合弁開発に比べて
モンゴルの取り分が少ないからです。

モンゴルの場合、
たとえば(飽くまで例です)金鉱山の開発をしたとして、
開発コストが1000、販売価格が8000だったとします。
この時、たとえば販売価格4000以上
(しつこいですが、この数字は飽くまで例で、
この価格はケースバイケースです)
の部分には68%の税金がかかることになるそうです。

もちろん、4000からコストの1000迄を引いた部分の利益に対しても
若干の税率がかかり、
ザッとした目算では利益の50%以上に税金がかかることになります。
(ちなみに、ロシアも同じような方式です)。
ところが、アイバンホの契約では
この「〜以上の部分については68%」という
高額の税金が免除されて、
利益に対して一律34%という話しになっています。
反対している人たちは、
これはモンゴルの国益に反すると考えています。
また、現在モンゴルでは
オユ・トルゴイ鉱山以外でも開発が進んでおり、
資金は大量に入ってきているので、
あせって悪い条件で契約することはないと考える人もいます。

さて、07年12月に替わった新首相はこの話しを一旦元に戻して、
08年6月までに再度まとめるとしており、
現在の株価はその分の期待が入っていますが、
モンゴル人に言わせると、
野党や国民の反対もあるし、
6月までにまとめるのは無理があると言います。

加えて、
これまでのアイバンホとの契約条件に反対してきた民主党が
6月の選挙で勝てば、
アイバンホに今以上の厳しい条件をつきつける可能性は高く、
さらに交渉は難航しそうです。
となると、目先、
アイバンホの株価は軟調になっていくのではないかと思いますし、
思わぬ急落も期待できそうです。
あとは6月の選挙以降の動向を見ながら、
買うかどうかを判断していけば、
面白い投資になるのではないかと思った次第です。

 
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2008年1月22日(火)

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