"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第196回
山東墨龍(0568)の決算レビュー2

少し間が空いてしまいましたが、第191回の続きで
山東墨龍(0568)の2008年決算レビューをお送りします。

ちなみにこのレポートは
3月16日に有料会員向けに発信したもので、
その後株価は約2割上昇しています。
決算内容を早く理解していれば、
思い切って買うことが出来た好例です。

*  *  *  *  *  *  *

(2)生産能力拡大と資金ニーズ拡大

08年下半期からチュービングの生産ラインに対して
技術改善に取り掛かり、生産量は9.5万トンに達しました。
09年はさらに12万トンの生産能力に拡大させる予定です。

生産キャパが25万トンのケーシングの生産ランは
07年から工場が部分的に稼動していますが、
生産能力が07年の60%から08年は80%に高まり、
20.8万トンの生産量となりました。
2009年にはフル稼働の予定で25万トンに達する見込みです。

その他直径180mmの石油専用パイプの改善プロジェクトが
08年7月から建設開始され、
2010年第1四半期までに竣工及びテスト稼動が始まる予定です。
設計キャパは30万トンと、
これまでの工場を倍増させるような巨大さです。

以上のプロジェクト建設及び実際生産能力が
計画通り順調に拡大して行けば、
2010年に同社のオイルパイプ生産能力は
総計65万トン(昨年度の2倍超)に達すると見込まれます。
この強気拡大計画を実現させるには資金面でのハードルがあります。

同社はこれまでも石油設備市場の見方を強気で見ており
(株式市場では株価が大きく下がっているように
投資家は弱気に見ているようですが)、
これまでも一貫して作れば作るほど売れると設備拡大を、
財務的には若干無理をして行ってきました。
この為負債比率はやや高めです。またA株への上場によって
株式市場から資金調達をして工場建設に充てようとしましたが
認可が下りず、その為銀行融資に頼らざるを得ませんでした。

山東墨龍のバランスシートとキャッシュフローグラフ

現金を大きく上回る有利子負債があります。
しかし利益の拡大で08年度のギアリングレシオは
前年と比べて若干改善され、
財務的にさらにきつくなるようなことにはなっていません。
また現金残高も大きく増えており、
バランスシートは幾分改善されています。

営業キャッシュフローも大きく稼いでいるのですが、
それを上回る設備投資が必要なため、資金集めが必要です。
同社は旺盛な資金需要を満たすために
再度A株上場を申請する計画です。
株価が下がっている中での上場や増資は不利ではありますが、
これが認められると設備投資がより順調に進むことになります。


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2009年4月23日(木)

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