"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第197回
ストレステストの結果は・・・

3月10日から続いている株式市場の短期上昇波は
やや息切れしてきた様子です。

日経平均は前々週に5週続伸で連騰が終わりましたが、
前週も続落で2週連続ダウンとなりました。

米国はダウが反落してしまい、ついに6週連続上昇で止まりました。
しかしアップル、マイクロソフト、
アマゾンなどが決算後に上昇した
ハイテク中心のナスダック指数は
金曜の上昇でかろうじて週間で上昇を保ち、
これで7週連続上昇という記録的に長い上昇期間となっております。
しかしナスダックも月曜には▼3.9%もの大幅下落を記録するなど
足元はややぐらつきかけている、といった様子です。

今のところは何とか3月からの短期上昇を維持していますが、
来週にはクライスラーが倒産の可能性
(伊フィアットの買収期限が4/30日)、
そして5月4日には銀行のストレステスト結果をFRBが発表して
どうなるのか、という際どいところにあると思います。

ストレステストについては財務長官がFRBの発表に先立ち、
大きな問題はなく、19の主要銀行は潰すことはできず、
必要とあれば資本を注入すると安堵を誘う発表しています。

常識的に考えてこれら銀行の資本は壊滅的であるはずで、
そのことはFRBや財務省が誰よりも百も承知のはずと思います。

IMFは主要金融機関の不良債権額は400兆円と
最近さらに増額したばかりですが、
数ヶ月ごとに100兆円単位で見積もり額を増額修正してきており、
今後さらに増えると見るべきでしょう。
ところが銀行は全部あわせても
まだ130兆円しか不良債権を処理していません。
差額は国が助けられる規模をもはや超えているのでは、と思います。

悪いと判っているものに、
あえてテストを掛けて結果を国民に発表するのですから、
何らかの方法で好結果を発表し、
株価を上昇させようとするものではないかと思います。

ボロボロだった銀行の四半期決算も、
3月に会計の時価評価基準をいじるだけで
大幅な好決算に操ることもできたのですから
テスト結果は評価の仕方次第で変えられると思います。

株価が上昇すれば銀行は投資環境が良くなり、
ある程度利益を出しやすくなります。

またゼロ金利を続けることでも利益が増しますので、
それら両輪を使って銀行に体力を回復させ、
不良債権を処理して行こうとするものではないかと想像します。

しかしそれが空回りに終わった場合は
もう一度底値を見ることになる恐れも残ります。

一方軟調だった安全資産には明暗が分かれてきています。

従来からの安全資産である米国債は下落を続け、
利回りは上昇し、10年物の利率は3月18日以来となる
3.00%乗せとなりました。
その日はFRBが米国債の買取という量的緩和を発表したことで
利回りが一気に2.5%まで過去最大級の急落となり、
意図通り長期金利が下がって
お金を借りやすくする環境にできました。
しかし徐々に巨額の財政赤字とドルの印刷で
米国債に対する懸念が増し、もとの金利に戻ってきています。

もう1つの安全資産である金は究極の実物資産
(米国債もドル紙幣も究極的には政府信用がなくなれば紙)として
底固く推移しています。

もちろん株式市場の短期上昇中は
安全資産からお金が抜け出るので調整してきましたが、
丁度200日移動平均線で2度底を打って、
株式市場のバテ気味状態に合わせてやや反発してきています。

金価格の推移


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2009年4月28日(火)

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