自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第178回
なぜこんなに流行っているのか、「てんぷら 近藤」

繁盛しているのでしょう、
予約時刻は18時か19時と限定されます。
2回転を想定しているようです。
今現在は未だ仮店舗とのことですが、
入り口付近は雑然としていて、
店全体も楽亭のような「凛」とした雰囲気がありません。
カウンター割烹のイメージです。

カウンターは12席、テーブルも8名分くらいはありましたから、
20名と天麩羅屋としてはかなり大箱のはずですが、
スタッフは厨房内も含めて3人以上いましたから、
個人天麩羅屋としては大所帯です。
着席して驚きました。
主人の近藤氏に覇気を感じないのです。
昔と違ってかなり老け込んだようで、
目に生気を感じずぼーっとつけ場に立っているのです。
客にではなく料理人に緊張感がないのは問題です。

コースは8千円から。
小鉢2つがついて1万円、それに造りがついて1万5千円です。
付加価値をつけて売上げ増を狙っているようですが、
造りとネタの数が少し増えただけの5千円プラスは高く感じます。
造りは主人ではなく男性スタッフが包丁を入れていました。
食材レベルは「楽亭」の4千円の方が上と判断、
その他天麩羅のネタの下ごしらえもすべてスタッフがやるので、
主人はただ鍋の前で揚げるだけ。
しかも揚げ終わった天麩羅はスタッフが客へ出しますから、
主人は楽なものです。
しかし、そのお陰で余計な人件費が
売価に転嫁されることになるはずです。

この店の特徴は、「野菜」にあると言います。
海老、キス、めごちなどの定番以外は、
アスパラ、レンコン、栗、しいたけ、ナスなど
野菜が7種と目立つのですが、魚系はこれに牡蠣と穴子。
やけに野菜の比率が高いのですが、
限定した野菜を用意したとしても、
原価率はかなり低いことが想像できます。
シイタケの旨さが印象に残りましたが、
あとは海老も野菜もすべて普通レベル。
特に穴子は身がやせ細っていると言うか、
貧弱なもので生臭かった。
オプションで頼んだ、
名物サツマイモは確かに甘くてよかったが、
完全に火を入れないと食べられない食材、
わざわざ天麩羅にしなくても焼き芋で充分です。
細切りしたニンジンもカリカリにして
香ばしさと甘みをだしたいのでしょうが、
これではどの職人でも出来るものと考えます。

ウリの天茶も並みでしたが、食後にフルーツが出てお腹は充分。
かなりお酒を飲んでも、
1万5千円のコースで一人2万円はかかりません。
お酒は安く設定しているようです。
マスコミの過大評価の代表みたいな天麩羅屋。
他の高額店を抜きん出るものがなく、
わざわざ行く必要はないでしょう。


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