自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第310回
レストラン サン パウ 2

料理は高いの一言。
コース主体ですが、ミクロメニュー(付きだし4品)、
前菜4皿、メイン、デザート2皿で18000円です。
現在は、前菜の1つ、ムツがアマダイに変更され、
小さなチーズを5種つけたプレートを加えて
21000円に値上げしています。
しかも表記価格に消費税は不含。
集計では別途加算されていました。
当局からの指導はされないのでしょうか。

それにもまして私が驚いたのは、スペイン本店のコース価格です。
同じような構成で、何と89ユーロ。
日本店はスペインの倍近い設定なのです。
「エル ブリ」など3つ星店もだいたいこのようなレベルのはず。
在日スペイン人が訪れるとは思えません。

アラカルトもかなり高い。
ミクロメニューはおまけで、
前菜(6千円前後)、メイン(6〜8千円)にデザート(2800円)の
3皿を頼むのが条件です。
一口で言って、「サン パウ」料理の特徴は、
甘さと辛さの同居、食材の変わった取り合わせ、
そしてじっくり味あわせない小ポーションでしょう。

我々は例の初老の客層ではありませんが、確認の意味で日を置いて
コースとアラカルトにチャレンジしました。
コースは小ポーション、多皿攻撃で、
各料理の味わいが記憶に残りにくい。
味わうほどの量がないので物足りなく感じるのです。
ミクロメニューは特に少ない。
トリッパに甘いレーズンを加え、
チーズパイのようなものにはニンニクを乗せるなど
その取り合わせの妙は「カメレオン」のごとくで
私には各食材が反響しあっているとしか思えません。
前菜は甘さ、辛さに塩が目立つものが出てきます。
全体が調和するのではなく、
口中で甘さやしょっぱさが別々に主張するのは、
果たして女性シェフのレシピ通りに造ったものなのか。

コースのメインは、イベリコ豚を使った2皿からの選択です。
肩ロースは尾を使ったソースになんとイチゴも加わって
まったくのサプライズ。
モザイクと称する料理は、耳、舌、足などの部位を
恐らく背脂を使ってまとめたパテのようなものです。
イベリコ豚などブランドポークは脂に旨みがあるもの。
ロースなど肉質部にその特徴があらわれると思うのですが、
イベリコ豚のゼラチン質を主体に使う必要性があるのか
私には疑問です。
フレンチの高額店でも、
似たような「ピエ ドゥ コション」が
安くおいしく食べられると考えます。
(明日に続く)


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2004年5月20日(木)

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