自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第311回
レストラン サン パウ 3

コースはチマチマした小皿ですが、
アラカルトもそんなに大きなポーションではありません。
よって、小食の方以外は
チーズプレートをオーダーしなくてはならないでしょう。

ワインも高いものがラインナップされています。
リストには50種ほど、他に300種揃えているとのことですが、
6千円から3万円近いものの中、主体は1万5千前後です。
しかもすべてスペインワイン。
フランスやイタリアに比べて普及が遅れているからか、
日本で紹介されている有名ワインは皆高評価、高価格でごく少数。
よって、リストをはじめ
ストックされているワインを存知の方は少ないでしょう。
当然私もこの店の値付け率ははっきりしませんが、
本店とのコース料理の価格差、
「サドレル」での掛け率から想像して、
安い設定ではないと想像します。
名の知れない若いスペインワインを
1万5千前後でのむというのは納得できないからです。

ワインサービスも疑問。
一応バッジをつけたソムリエ職の方はいるのですが、
パニエの使い方がおかしい。
やや高額のワインを頼んだからか、金属枠製ではありますが、
ボトルを斜めにしたまま保持できる「パニエ」で
セラーから持ってきました。
「パニエ」の効果は、そのまま抜栓しグラスに注いでも
ボトルをほとんど傾けずに寝かせたままにできるので、
瓶内での澱の拡販を防ぐことにあります。
ところが、そのソムリエはグラスに注ぐ段になると
パニエからはずし、注いだあと瓶を立てました。
そしてまた斜めにしてパニエに戻すのです。
若いワインなのでパニエが必要とは思えませんし、
用いるなら正しい使用法でするべきと考えます。
ただのパフォーマンスなのでしょう。

コース、もしくはアラカルトでも
そんなに支払額は変わりません。
そして量も含めた食後の満足感にも違いはなく、
主体である1万5千円前後の高めの赤ワインなどを頼んで
一人3万5千円以上。
女性シェフはこの料金体系を納得して提携したのでしょうか。

<結論>
理解しがたい食材や甘辛ソースの組み合わせに、
これがモダンスパニッシュだと開き直られたら
私は言葉がありません。
今は星付きスパニッシュが珍しいから客は来ているようですが、
この価格、この料理。
ミーハーではなく真の食通が通うとは思えません。


←前回記事へ

2004年5月21日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ