自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第520回
日本を舐めるな、BEIGE TOKYO 1

シャネルと
3つ星シェフというより
事業家として有名なアラン・デュカスという
2大ブランドのコラボによるフレンチが、
昨年12月はじめ、大々的にオープンしました。
かなり準備期間があったと思うのですが、
段取りや対応の悪さに気づいたのは私だけでしょうか。
グランメゾンのような高級店では、
サービスを含めた運営システムの如何がその店の評価を左右します。
しかし、このベージュのシステムには多くの問題がありました。

まず、電話応対。
新人なのか当意即妙な応対ができません。
しかも、前日の確認電話が19時前に初めてかかってきたとか。
その際出られず直後にかけ直したそうですが、
その発信元へは繋がらなかったそうです。
しつこく21時過ぎまでかけてきたそうですが、
店はその時間帯で繋がると思っているのでしょうか。
携帯番号を教えているのに、
既に夕食に入っているかもしれない時刻に電話をかけてくる無粋。
昼時にするべきでしょう。
昼間も電話応対者の数が少ないのか、
回線は繋がっているのにもかかわらずテープ対応になり、
かけ直せと言われます。

不手際はまだまだあります。
事前にコースを決めろと言われましたが、
オープン直前でも料理内容が決まっていないのです。
100名近くの大箱で、2種のコースが主体のはず。
オープン2日前で本当に料理内容が決まっていないのか。
デュカスは厨房に立たない、レシピの伝送者として有名ですが、
肝心のレシピの完成が遅れるのでは話になりません。
ほとんどぶっつけ本番で料理を出してくることになります。
本当に料理が決まっていないのか、
いちいち客に知らせるのが面倒だから拒絶しているのか
わかりませんが、
真摯に客へ対応していない傲慢さを感じます。
既にオープンして1週以上経った今でも、
HPではメニューの公開を先延ばしにしています。
総支配人はソムリエで有名な渋谷氏。
専門のワイン関係では有能かもしれませんが、
支配人としての技量に疑問であります。

レストランフロアへはシャネルブティックからは行けません。
ビル脇に専門の入り口とエレベーターがあり、
予約名簿で入店者をチェックしています。
予約なしの友里が外から店内を覗けないようにしているようで、
このセキュリティーには脱帽です。
その受付けには3名の女性がスタンバイしていて、
一人がエレベーターでレストランフロアまで帯同してくれます。
乗った所と反対側のドアが開くこと、
その女性が無線のイヤホンやマイクを装備しているのを見ると、
白金の「ボエム」を連想してしまいます。
多店舗展開と同じようなシステムが、
グランメゾンに必要なのでしょうか。
1台のエレベーターですから、
入場制限をしないと入り口で渋滞してしまうのでしょう、
15分刻みに入店時刻を振り分けているのも変わったシステムです。

実はデュカスの日本への進出はこれが初めてではありません。
もう忘れてしまった方も多いかもしれませんが、
舞浜のイクスピアリがオープンした時、
「スプーン」という廉価版の店を鳴り物入りで出しているのです。
私も訪問しましたが、
どこに3つ星店の面影があるのかわかりませんでした。
そしてイクスピアリと
スプーンのコンセプトが一致しなかったのか、
あっという間の閉店。
しかし、
このベージュでは当時のシェフを再び起用してきています。
デュカスはチャンスを何回も与える寛容な人なのか、
日本人を舐めているのか、
今回の訪問で私の結論は出てしまいました。

<明日に続く>


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2005年1月11日(火)

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