自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第561回
友里への刺客か「美食の王様」

昨年末、読者の方からの情報で
「美食の王様」(来栖けい著)という本の存在を知り、
早速購入してみました。
20代半ばの若者ながら
10年以上自腹で食べまくっての飲食店ガイド本、
半端ではない経験に驚き
どのようなスタンスで書かれているのか大変興味があったからです。

ネットからはコスプレ女優の名しか検索できない著者名に、
怪しさを感じましたが内容はいたって健全というか王道スタイル、
つまり店や料理の良さだけにスポットを当てた本でした。
かの山本益博氏も自身のHPで、
「店や料理になんらケチをつけないスタンスが素晴らしい」
と自分が料理店側だと明言しているかの褒め言葉には笑いましたが、
私もこの本を読んでかなり考えさせられました。

この本は、和食、フレンチ、イタリアン、鮨などをひっくるめた
ベスト20の店ランク付けと、各ジャンル別ランク付け、
そして魚、野菜、肉など食材をパラメーターにしての、
すべての飲食店の料理をひっくるめた
個々の料理のランク付けで構成されています。
つまり、店ベストではフレンチやイタリアンの他、
懐石から鮨屋までをもろに四つ相撲を組んで競合させています。
食材編でも、例えば魚編では、
鮨屋の大トロとスペイン料理のアマダイ、和食の鱧、
フレンチの黒アワビから天麩羅のホタテまでが競合するという
いささか無理があると思われるランク付けではありますが、
読者の心理を読むというか、これを読むと
皆おいしそうに感じてしまう書き方になっているのです。
料理に対する味わいや店のサービスに対する感想は、
その人の育った環境、生い立ち、年齢など個々の人で違うでしょう。
絶対基準があるわけではないからです。
ただし、全編、取り上げた店や料理を褒めまくっていますから、
行ったことのない店の記述を読むと、
何としても行ってみたくなってしまうのです。
洗脳されてしまうのでしょうか、
それほど凄い店、料理ならば
万難を排してもとなってしまうわけです。

中には私が取り上げるのも無駄だと思った
現在一時閉店の「シュマン」がなぜか高ランクに位置し、
二度と同じ料理を造らないと明言している
小林シェフの「フォリオリーナ」の料理を
数多くランクインさせて記述する意味があるのか、
生米からではなく手抜きで炊いたご飯から造って
食感がまったく違う「カメレオン」のリゾットを褒めるといった
疑問の点もありますが、
それは人それぞれの味覚、価値観、経験によるものです。
誰が正しい、どれが真実といったものではないと考えます。

ところでこの本で私が注目した店は「入船」と「天一山」。
「入船」は数年前、
初競りの大間の鮪2000万円を仕入れた鮨屋で有名だそうで、
「天一山」は「天一本店」の2階、
歴代の首相が海外からのVIPを連れて行く店だそうです。
どちらも私が知らなかった店。
「入船」はフレンチ、イタリアン、高級和食など
すべての飲食店を押さえての堂々第一位、
「天一山」も5位でした。

直ぐに行ってみようとしたのですが、
近海鮪を使った「鮪尽くし」や「大トロ炙り尽くし」などを頼むと
量的、金銭的に他の握りが食べられないと推測します。
特に舌的には、トロばかり注文していた
幼少の頃の嗜好に戻らなければならないのです。
また「天一山」はコースで一人約5万円。
何かの間違いかと思いました。
「はやし」や「楽亭」など高額天麩羅屋の3倍以上です。
しかも一人では予約できません。

嗜好を幼少に戻さなければならない、
5万円では誰も付き合ってくれそうもなく、
連れの分ももつと20万円くらいになってしまう支払い、
いくらミーハーで新しい物好きな友里でも、
このハードルは非常に高すぎです。

そこで私はふと思いました。
この本は、そして著者は友里を破産させる、
嗜好を混乱させるなどの意図をもった、
マスヒロ氏、犬養女史が放った刺客ではないかと。
ま、考えすぎではありますが、
そこらの本と違って
それほど読み込んでしまったガイド本であったのは事実です。


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2005年2月21日(月)

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