自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第602回
ワインの諸々 その52
最近下火か、ラベルはがし

10年前頃始まった第三次ワインブームの際、
よく売れた小物はラベル剥し用のフィルムだったでしょうか。
日本人は飲んだワインの記憶、記録に執着があったからなのか、
ワインラベルを保管する習性が強かったと思います。
ワインのラベルを剥し保管できるアイテムとして、
粘着剤を片面に張った透明のフィルムが考え出されました。
粘着面をラベルの表側に貼り付け、
しっかり押さえつけてから剥すと
ラベルの印刷層がうまくはがれる仕掛けになっていて
大変便利であり、何社かの製品が出回っていたと記憶しております。

しかしこの小道具は日本で主に普及しただけのようでした。
以前フランスやイタリアで食事をしたとき、
カリスマ造り手のワインやレアワインを飲んだ後、
記念に持ち帰ろうとしてソムリエに頼んだ事がありましたが、
彼らはあまりいい顔をしません。
このラベル剥しフィルムがないのでしょう、
奥へ行って蒸気をあてるとか、
なにやら苦労して剥して台紙にはったものをくれるか、
もしくはイタリアでしたが、
ビオンディ・サンティというメーカーのラベルは剥せないと言われ、
ボトルごと持って帰れと言われたこともありました。
一晩中、バスタブに張った水の中につけていたのですが、
あまりうまく剥す事が出来なかった覚えがあります。
日本以外では、あまりラベル保管という考えがなかったのでしょう。

私も当初は店や家で飲んだレアワインのラベルを剥していましたが、
もともと執着しないタイプなのでしょう、
最近はまったくやっておりません。
家族を撮ったビデオと同じで、
あらためて見る事がほとんどないからです。
また、ワインも値上がってしまって、
店でレアワインを気安く頼めなくなったことも影響しています。
記念になるほどのワインを外で飲めないからです。

自分たちだけかと思ったのですが、
最近の店内の様子を思い出してみると、
ソムリエやスタッフが客の要望で
ラベルを剥しているところを見たことがありません。
ワインをボトルで頼む客が少ないこともあるでしょう。
記念にとっておきたいと思うようなワインが
高くなって手が出なくなったこと、
若いワインばかりになったことも要因だと思います。
ワインショップに行く機会が激減した友里ですが、
ラベル剥しフィルムが全然目立たなくなってしまったな
と思うこの頃です。


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2005年4月3日(日)

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