自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第741回
前評判は良くないが・・・ 赤坂 菊乃井 1

東京の京料理は高すぎる、これが真の京料理だ、
と主人たちは満を持して進出してきたと聞きました
「赤坂 菊乃井」。
すべてを自前でという考えなのでしょうか、
水や食材を地元京都から運び込むだけでなく、
土地を自ら購入し、有名な工務店に頼んだ建屋。
かなり力を入れてオープンしたようですが、
知人たちから聞いた評判は悪い話ばかりでした。
雰囲気だけだと言うのです。

赤坂見附駅から徒歩で15分ほどかかるでしょうか。
赤坂砂場の前を通り、老舗のラブホ、サヴォイの対面が
この菊乃井です。
アプローチは凄い。
恐らく贈与のからみで土地を分割したのでしょう、
間口がせまく奥にスペースがあるL字の地型は、
その典型的なものです。
しかしその狭い間口を、
逆にうまく建屋までのアプローチとして利用しています。
少ない照明が暗闇のアプローチにはまさに効果的で高級感たっぷり。
地型がL字で奥にしか建物を建てられないデメリットを
このアプローチで完全にカバーしています。
しかし店中はうって変わってかなり明るく、
このギャップには驚きました。

カウンターは2つ。
お勧めは庭木が覗ける14席ほどのメインのカウンターでしょう。
奥に靴を脱いで上がるカウンターもあるのですが、
あまりお勧めできません。
その他テーブル席など含めると
キャパはかなりある大箱店のようです。2階には個室もあるとか。
拘った建屋のはずですが、
店内はアプローチの重厚さと対照的な内装で、
どちらかというと騒然とした雰囲気に感じました。
客層もその日だけの傾向なのかいつものことなのか、
女性客が主体で男性客だけの接待系はちらほら。
一見すると、あの駅デパの京都和久傳と同じ印象に感じます。

しかも
ダイニング系列のシステムを取り入れているのには驚きました。
メインのカウンター内では、盛り付けや調理をしないスタッフが、
イヤホンとマイクを着けて独り言を言いながら歩き回っています。
どうやら、客の食べ具合を見て、
地下の厨房へ次の料理の指示を出しているようですが、
ここまでする必要があるのでしょうか。
多店舗展開の店ではないのですから。

<明日に続く>


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2005年9月1日(木)

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