自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第951回
醜態を晒し続けるな、トゥール・ダルジャン

ついに来るべき日が来たというか、
今年のミシュランでは、
日本人シェフ2人の1つ星獲得といった明るい話題の他、
あの鴨料理の老舗、「トゥール ダルジャン」が
1つ星に降格してしまったということもニュースになりました。
ニューオータニに日本支店を出した頃が絶頂期だったのでしょうか。
世界の貴族、富裕層も
伝統の鴨を食べに行ったという有名店でありますが、
料理にほとんど変化がなく、当然レシピも昔のままでは、
やはり今の時代飽きられてしまうのでしょう。
10年ほど前に長らく保っていた3つ星から2つに転落、
そして今年ついに1つになってしまった。
ある意味伝説的な店だと思うのですが、
私が不思議に感じるのが、
なぜ未だにミシュランの掲載を容認し続けるのかということ。
聞いた話ですが、
あのマキシムは星数を降格させられるということで、
その後一切の掲載を拒絶したと聞きました。
誰でも上り調子の店には行きたくなりますが、
賞味期限が切れたというか、
右肩下がりの店にわざわざ行きたいと思う人は
よほどの鴨好きでなければ居ないはずです。
負の印象を与えてしまうミシュランの掲載にどうして固執するのか、
私はトゥール・ダルジャンの経営陣の思考が理解できません。
マキシムと違って
ミシュランの掲載を拒否できないシステムになったのか、
それとも1つになっても掲載される方が
営業的に得だと判断しているのか。

私は2つに降格した直後にはじめて訪れたと記憶していますが、
夕暮れ時のノートルダム寺院の借景は素晴らしいものがありました。
立地もいい、今はどうか知りませんがワインの品揃えも凄く、
値付けも高くなかった。
良い所もあるわけでして、
ネガティヴな印象を与えてしまうミシュラン掲載は
絶対避けなければならないと思います。

しかし、オータニでも何回か食べましたが、
私自身確かに有名な割に傑出した料理だとは思わなかったと言うのが
正直なところであります。


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2006年4月13日(木)

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