中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第17回
モソ人

四川省と雲南省の省境に(雲南省麗江の北のあたり)
瀘沽湖(ルグ湖)と呼ばれる
透明度も高く、綺麗で神秘的な湖があります。
その湖は海抜2680メートルのところにあり
面積は50.3平方キロメートル、
平均水深45メートル、一番深いところでは
93メートルもある淡水湖です。

写真:瀘沽湖(ルグ湖)

最近は、交通の便も大分よくなり
そこへ訪れる観光客も一気に多くなりました。
もちろん、そのルグ湖を見に行くのも
旅行の目的ですが、多くの観光客は
ルグ湖周辺で生活をしている人々、
「モソ人」達のとても変わった風俗習慣が
観光客の心をひきつけているのです。

そのモソ人の面白い風俗習慣の中でも
とりわけ珍しい習慣は「走婚」と呼ばれる
婚姻の習慣ですが、
走婚の説明の前に、このモソ人達の
風俗習慣について少し触れておきましょう。

このモソ人の社会は母系家族社会であり、
どの家庭も一家の長は女性なのです。
家の長を決める時も
長女だから家の長に選ばれるとはかぎらず、
その家族の中で一番よく働き
よく管理の出来る女性がその家の長となります。
そして長として選ばれた女性は
その事を非常に誇りと感じ、
お家繁栄のため一生懸命力を尽くすのです。

そのモソ人達の住居ですが
大部分が四合院形式の大きな建物で
中庭があり、その中庭を囲むように
4方に木造作りの建物があり、
母屋の棟、成人した娘の棟、ゲスト用の棟、
そして家畜や農作業の道具を納める棟と
分けられています。
家長の仕事は主に家計の管理、
子どもの養育、衣食の世話、
そして家畜の世話や農作物の管理となっています。
まさに一家の大黒柱は女性なのです。


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