中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第37回
口の中にセミを入れる習慣!!

7月に入り北京もかなり暑くなってきました。
夏になって思い出すのは、
青い海、真っ赤な太陽、カキ氷に亀ゼリーですね。
夏の日に縁側で亀ゼリーを食べながら
蝉の声を聞く。
いいですね〜!
私が子供の頃は夏休みになると、
近くのお寺へよく蝉を取りに行っていたものです。

蝉。
中国では「蝉」(発音はチャン chan) とも呼ばれますが
口語では「知了」の方がよく用いられます。
知了は中国語の発音でジーリィアォzhi liaoといい
蝉の鳴き声からこの名前がついたみたいです。
蝉は暗い暗い土の中で7年もの長い間
木の根の樹液を吸い成長し、
地上に出て羽化してからは7日という一生。
その7日間、蝉たちは皆に最高の歌を聞かす
ために一生懸命歌っているのです。
日本で蝉といえば夏のシンボルで
毎年夏になるとうるさく鳴いているくらいにしか
思われないかもしれませんが、
中国では古代から蝉は再生と復活の
シンボルとされてきました。
今からおよそ2000年前の漢の時代
その頃の皇族たちは
蝉の抜け殻を死者と見做し、
死者の魂が抜け出さないように、
それに蝉は死んだ時も
姿を乱さず羽も揃えて整然としているので、
死者もそのようにあって欲しいとの願いも込め
翡翠や玉(ぎょく)を蝉の形に彫り、
それを死者の口の中に入れて葬っていました。

(写真 含蝉)
当時、玉には不老不死の効能があると信じられ
翡翠や玉を使って
遺体の穴をすべて塞ぐと
死体は腐らないとされていました。
その翡翠や玉で作った蝉のことを
「含蝉」(がんせん)といい、
実際には皇族に限らず、裕福な人の間でも
この玉で作った蝉、含蝉を口の中に入れ
死者を葬っていたそうです。
現在ではその様な習慣は残っていなく、
アクセサリーや置物として使われています。


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