世の中で起ることはいいことばかりといらことはないもので、
いい面があれば、必ず悪い面もある。「大過なき限り」詰め腹を切らされることがない制度は、一人の人間を長く会社に繋ぎとめる役割をはたし、会社に対する忠誠心を喚起するのには役立つが、同時にまた会社に「おんぶにだっこ」をきめ込む怠け者の大群をかかえ込むことにもなる。働くふりをして適当にサボる人がふえてくれば、会社の機動性は失われ、効率も下がる。だから日本の企業はどこでも社員教育に力を入れざるを得ないのである。
しかし、年功序列給や終身雇用制は、さしひき企業にとってプラスか、それともマイナスか、といらことになったら、やはりプラスの面が多いだろら。社員が自分の職場に愛着をもたず、わずかな給料の差や自分の個人的な都合で簡単に職場を離れる気風が強ければ、そのたびに生産ラインが乱れるし、熟練度を要する仕事なら、品質が低下して信用をおとしてしまう。その点、口本のように定年まで一つ会社で奉職する人の多い社会では、品質の管理が行き届き、クレームがついてもすぐ修正ができるし、お客の要求を生産に反映させるととができる。日本的な制度は技術蓄積型の産業に向いていると言ってよいだろら。
また日本のよらに、ライバル企業に走る習慣がなく、ライバル企業も相手から引っと抜きをしたり、相手からの駆け込みを受け入れたりする習慣のないところでは、企業秘密がライバル会社にもれたり、「昨口の同僚が今日から仇敵」といった光景はまず見られない。その代り学校時代の同窓が、一人は日立、一人は東芝、もら一人は松下と、別れ別れに採用されて、それぞれの研究所に人っていることが多いから、お互いに電話をかけあって、どんなことをやっているか連絡し合うチャンスも多い。
企業の秘密に属することは喋り合わないとしても、ライバル会社がどんな新商品を手がけているのか、どのへんのところまで開発がすすんでいるのか、どんなことで技術的に行き詰っているのか、といった大体のことはお互いに情報の交換ができている。だからお互いにライバル会社でありながら、 Aの会社が新製品を発表すれば、追いかけるようにBやCの会社も似たような新製品を発表するし、一社だけ突出したことになることはまずないのが日本産業界の特徴である。

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