下請け企業群を抱えこむことのメリット
こうした一大企業群を抱えこんで、はたしてどれだけのメリットがあるのだろうか。まず、第一に考えられることは、生産を分散かつ分業させることによってマンモス化による巨大病を防げることである。恐龍は身体の各部で起る異状を頭脳まで伝達して適切な反応を示すまでに四秒もかかるようになったので、敵に襲われた場合、防衛できずに滅んでしまったといわれている。企業も巨大化すると、独立採算性をとるなど、各部門ごとに責任の所在をはっきりさせて動脈硬化を防いでいるが、どうしても対応が鈍くなる。それを細かく刻んで独立させることよって、ある程度防ぐことが可能になる。
第二に、退職金を初め本社の給与規定をそのまま適用しないですむから、かなり経費の節約になる。とりわけ一流会社になると、給与水準も高いし、一旦、雇い入れると生涯面倒を見なければならなくなるから、どうしても採用を渋るようになる。子会社なら別法人だから、そんな心配は一切しなくてすむ。
第三に、景気・不景気やそれに伴う仕事の増減、価格の調整を、ある程度下請けに転嫁することができる。一から十まで自社で生産していると、仕事が減っても抱えている労働者の数を増減することができない。ところが、別法人になっていると、頭を痛めるのは下請けの社長であって、親会社ではない。反対に仕事がふえれば、仕事に追われるのも子会社で、親会社は量産設備を相手にやらせることもできるし、それを口実に単価を値切ることもできる。石油ショックや円高ショックによって日本の大企業はくりかえしピンチに見舞われたが、そのたびにピンチを切り抜けてこられたのは、こうした子会社群をもっていて、それぞれがショック・アブソーバーの役割をはたしてくれたからである。
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