日本人の発明した「小売店の傑作」はデパート


高級イメージを保ち続ける日本のデパート
「商社」が日本人の生んだ「国際問屋」だとすれば、「デパート」は日本人の発明した「小売店の傑作」であろう。ヨーロッパに行っても、アメリカに行っても、デパートはある。しかし、欧米のデパートは日本のデパートのようなスケールはとても持っていないし、日本のように最高級品を売ってもいない。扱っている商品は、どちらかと言えば大衆商品で、恐らく欧米の国々で上流階級に属する人々は買い物をするのにデパートに出向いたりはしないのではないだろうか。
もちろん、欧米のデパートでも、上流階級をお客に引き入れるために、あの手この手の努力はしている。最近では有名デザイナーのコーナーもつくるようになったし、化粧品も一流ブランドを一堂に揃えるようになったし、またダンヒルとか力ルティエとか、有名専門店の出店も見られるようになった。しかし、デパートに出店を要請されるような有名店はいずれもモンテ・ナポリオーネとか、サント・ノーレとか、ピカデリーとかに自分の店を構えていて、一番の上客はデパートには行かずにそれらの店へやってくる。デパートを上から下まで歩くとすぐにわかることだが、ファッションやブランド商品は別として、家具とか、寝具とか、家庭用品の売り場に行くと、陳列している商品の品質や価格はグンと大衆的なものになっている。
その点で、日本の百貨店は、東京たると地方たるとを問わず、その地域で中流以上の人々を顧客に網羅しており、商品構成も最高級品から大衆商品まで一通り揃えている。俗に棺桶と墓石以外のものは何でも売っているというが、最近ではスーパーの安売りに対抗するために、スーパーが目玉にしている商品はわざと避けて、もっばら消費者の高級志向に合わせた商品構成に努力している。集客能力、売上高、利益の上がり方から見て、日本のデパートが小売店としてトップのランクにあることは異存のないところであろう。
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