こういう会社はこれからますますふえてくる。混血でつくられた会社みたいだが、その利害はどちらの国の利害とも必ずしも一致しない。むしろ国境のあることが大きな障害になる。しかし、現実にまだ国境が存在している以上、国と国の利害が一致しない場合は、どちらかに加担しなければならないとしたら、工場閉鎖でも決心しない限り、工場の設置された国の方針にしたがわないわけにはいかないだろう。海外に進出した日本企業は日本人が出資した企業であっても、日本の企業ではなくなる。ちょうど自分の子供は自分の生んだ子供ではあるが、自分のものではないと考えなければならないようなものである。海外に出した工場や事業所も自分たちのものと思い込んでいると、何かの拍子に大きなショックを受けて、淋しい思いをさせられる。
にもかかわらず、好むと好まざるにかかわらず、日本人および日本企業の海外移動は本格化する。移動した先で日本の流儀を押しつけたら、抵抗が大きくなって押しかえされることも考えられる。現地で仕事をする以上、現地で生き残るためのノウハウを身につけなければならないが、日本にいて、ああだ、こうだ、と想像を逞しくしても何の役にも立たない。書物に書いてあるような情報は、旅行者向きのものがやっとで、現地の人々の生活思想や風俗習慣や拒絶反応は、実地に接して肌で感じて覚え、試行錯誤で摩擦を減らし、うまく適合していくよりほかない。経営者になるということは、もともと働く大衆に奉仕するという面を持っているから、これから海外で事業を経営する日本人は全世界の人々に対して奉仕する立場におかれていると考えなければとてもやってはいけないだろう。
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