各ブ口ック内に生産機構を移すことでブ口ック内自給自足体制でも生き残れる

ドルは今後も、当分のあいだ、今まで果たしてきた役割を果たし続けることになろう。しかし、ドルの為替レートがある時点で底に達し、安定したレート維持をするようになったとしても、世界通貨としての役割は相対的に低下することは相違ない。アジアの日本の経済力は他の追随を許さないものがあるから、もしアジア経済圏を一つのブロックであるとしたら、このブロックでは、多分、円がドルと同じくらい国際通貨としての役割を果たすことになるであろう。
ただ、ECブロックの基軸通貨はマルクであるかということになると、ヨーロッパ全体が最も歴史のある先進国群であり、お互いに兄たりがたく、弟たりがたい立場だけに、西ドイツの主導権が認められることにはならないであろう。西ドイツにしても、外貨準備高でトツプに立っていたのが日本に追い抜かれ、台湾とどちらかという水準まで後退してきたし、ここのところ、成長のスピードも目にみえて低下してきたから、対日為替レートだけでなく、対NIES通貨とのレートすら弱体化の方向に向いつつある。EC全体が一九九二年を期して共同市場になるのだから、通貨も一つに統一することになっているが、モノの行き来は完全に自由化できたとしても、各国が自国の通貨発行権を手放す気はさらさらないから、モノやヒトに比しておそらく通貨の統一が一番難行することになろう。
ヨーロッパ各国を旅行するたびに痛感することだが、一時間も乗り物に乗らないうちに隣国に達してしまう。さすがにECの人々のあいだでは、相互乗り入れにいちいちパスポートのチェックを必要としなくなったが、国別に通貨が違うために、一回一回、両替銀行のお世話にならなければならないという厄介なことが依然続いている。モノ、ヒトに続いて、カネも自由に動きそうなものであるが、カネが他の国の通貨に化けることには原則的に何の制限もなくなったが、通貨の単位が統一される可能性はECにおける壮大な実験をまたなければならない。ヨーロッパ勢が一つの市場になっても、複雑な計算をしなければ、価格を決められないというジレンマから容易に脱却できないかもしれない。これも国の権力を手離したくないという支配者の欲得のせいと言ってよいであろう。

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