どうしてこういうことになったかというと、厳密に累進税率を適用されたら、どんな莫大な所得があろうと、戦後の日本では、税金を払った残りのお金で大金持ちにはなれっこなかったからである。日本の経営者のサラリーマンはアメリカの経営者ほど高額ではないし、ほんの少し前までは年間二○○○万円をこえる所得に対して七一%も税金がかかった。八○○○万円をこえると、税率が九三%になった。サラリーは一○○%補促され、源泉で課税されるから、平均所得よりかなり高い給与を受けていても、大雑把に言って、半分は税金にとられてしまう。その残りの中から、土地や株を買っただけでも、かなり値上がりをしたじゃないかと言えないことはないが、給与の多い人はその対面を保つために、その分だけ支出も多いから、貯蓄や投資にまわすお金をそんなには捻出できない。実業界で高い地位を占めていても、サラリーだけでは金持ちになれない仕組みになっているのである。
あとは信用を利用して借金で土地を買ったり、株を買ったりするよりほかない。そういう財テクを心掛けた人々は、経営者でも、ヒラのサラリーマンでもそれなりに資産は形成している。しかし、日本の国では、サラリーマンがよそみをしたり、他に手を出したりすべきでないという気風も強いので、一流企業の経営者で、本業以外の仕事に一切かかわらず、退職時にもらう一時金が唯一の財産という人も決して少なくはない。その点、創業者の場合は、自社株はもとよりのこと、次々と手がける新事業や新会社に出資をして、それが成功すれば、財テクに励んだのと同じ結果を得られる。したがって、日本で実質的に金持ちにのしあがった人々は、創業者として企業を成功させ、上場した株が高値を維持している人々か、土地の高騰によって莫大な含み資産を擁するようになった人々に限られている。その人たちの場合でも、個人の所有や所得にすると、累進税率の適用を受けるから、たいていが法人名義になっており、資産や所得を法人の段階で調節するようになっている。
累進税率を貫く思想は、一つ目は所得の多い者ほど、より多くの国家の経費を負担すべきである。二つ目はそうすることによって所得の再分配をやって貧富の差を縮める、そして、親が死ねば、それを受け継ぐ遺族は不労所得だから、そんなにたくさんの分け前にあずかれないのが当り前だ、といったことであろう。はたしてこうした考え方が正しいかどうかは、人によって考え方も違うし、また時代によっても人々の考え方は変るし、検討の余地を残しているが、自由主義先進国に比べても、日本の制度はきわめて社会主義的色彩の強いものであることについて異論はないだろう。

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