しかし、国家財政は現実に大赤字である。 過去に発行した公債の利払いだけで六○兆円にのぼる年間予算(平成元年度)の二○%が占められている。こういう財政状態の下で福祉予算がふくれあがるとすれば、増税で賄うよりほかないが、直接税で増税ができないとすれば、あとは間接税をいじるよりほかない。悪名高き消費税の登場してきた背景にはこうしたお家の事情がある。私は、国家財政の推移からみて、付加価値税が早晩、登場して来るだろうことを予言した一人である。付加価値税は二十世紀に残された「最後にして最大の財源」といわれているだけに、徴税の当事者にしてみれば喉から手が出るほど欲しい存在である。中曽根首相の時代に消費税の導入をしないと公約しながら、前言をひるがえして突如、売上税に走ったのも、これこそ財政困難から日本の国を救う起死回生の特効薬と確信したからであろう。どういう名前がつくにせよ、付加価値税で税金をとれば、消費者の一人一人から税金を徴収できる。今まで税金を免れていた低所得者からも徴収できるのだから、基本的には大衆課税である。日本人も世界的水準の金持ちになったのだから、今まで税金を払わなかった低所得者層もその分に応じて税金を負担すべきだという考え方に立てば、消費税のような網目のこまかい網に引っかからない魚はいなくなる。雑魚取りには効果てきめんの税制である。
しかし、消費税を実施するにあたって、「老齢化社会に備えて消費税は絶対に必要」という論理が説得力に欠けることは先にも述べた。消費税の実施に賛成を唱える人々は、先進諸国が等しく採用している税制だから、日本に適用されてもおかしくない、と考えているが、国それぞれに歴史もあり、国民性も違うのだから、ヨーロッパに右へならえをしなければならないという理由はない。私からみると、消費税は一人一人の人にわずらわしい計算を強いる、手間のかかる税法であり、国家財政の赤字を補うためにどうしても大衆課税が必要だというのなら、もう少し手間がかからないで、大衆課税の目的を達せられる方法が他に考えられるように思う。

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