これ以上の増税ができないところで登場した消費税
ところが、日本のお役人は、成長産業も斜陽産業も一緒くたにして面倒をみる。守ることが天職になって、自分たちの予算や地位を不要にするいかなる動きにも死物狂いになって抵抗する。それが外国人の目には日本人の閉鎖性として映る。同時にまた財政を赤字のまま硬直させる力として働く。もっともこうした無駄遣いと抵抗は、時間がかかるだけで、いつかは消滅するときが来る。外国からの圧力が一段とかかるし、経済の原則が作用するから、ついに坑しきれなくなって、城閣の一角が崩され、やがてなし崩しに姿を消してしまう。農業もまた莫大な国費を浪費した末に、外国でつくったほうが有利なものは外国から輸入され、足早に国際分業の方向に転換することになろう。
これに対して、老齢化社会に対応することと、日本が世界の富裕国になったために半ば当然視されている発展途上国や債務国などへの海外援助は、ただでさえ赤字財政に苦しめられている日本の泣き所になるであろう。人口構成とその推移からみて、老齢化社会の到来は避けられず、二○二○年になれば、六十五歳以上が全人口の二三・六%を占めるようになる。日本の税金、保険金、諸公課の国民負担率は、すでに一九八八年の段階で三八・五%に達しているが、この調子ですすめば、二十一世紀を待たずしてスウェーデンやデンマークのように五○%をこえてしまうだろう。
こうした支出を従来の税制の下で賄うことは、重税感を国民にあたえるだけでなく、徴税技術的にみても、これ以上の増税はできないところまで来てしまっている。たとえば、年収一○○○万円をこえると、国税が四○%、地方税が一五%、合計五五%の税金がかかる。仮に年収一○○○万円の人が五%の賃上げによって五○万円収入がふえたとする。税引き後の手取りは二二万五○○○円にしかならない。全体からみると、二・二五%の収入増にすぎない。もし年間に三%のインフレがあったとしたら、年収が五%ふえても実質、減収になってしまう。こういう状態の下で、所得税の新しい増税をはかることは不可能といってよいだろう。
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