このことは、成長産業と斜陽産業の区別なく国の抱え込んでいる難題はすべての国民に共同分担させ、相互に助け合って解決することになる。かつて斜陽化する石炭業を助けるために、石油に課税することによって炭鉱の整理を遅らせたように、今の日本の役所も(その上にのっかった与党の政治家たちも含めて)農業を助けるために工業に犠牲を強いる傾向を持っている。産業界全体に一人の落ちこぼれもないように農業の挺子入れに莫大なお金を注ぎ込んできたが、にもかかわらず、国際世論にも抗しきれなくなったし、農民の農業離れがますます激しくなって農業そのものを支えきれないところまで追い込まれてしまった。
発展する産業と斜陽化する産業のあいだのきしみをできるだけ穏便に調整するのが行政機関の仕事であり、そのために税金を無駄に使ってもある程度は許されるという立場に立てば、日本の官僚は決して無能だったとはいえない。しかし、ここまで日本に国際競争力がつき、日本の貿易黒字が世界中の批判の的になれば、政府がなおも先頭に立って輸入を阻止し続けるというわけにはいかない。「守るも攻めるもくろがねの」不沈艦よろしく、保護主義一点張りの行政指導を貫くのはもはや金銭の浪費だけでなく、時代遅れでもあり、世界中からの批判をかわせなくなってしまう。
むしろこの際、斜陽化する産業の廃業を手伝い、対外的には日本の技術を移植して日本向けの生産を指導し、成長してすでに国際競争力のついた業種については、指導をしなくても自分たちでドンドン海外に進出していく実力を備えるようになったのだから、国内市場を開放して外国企業の進出を可能にし、競争の原理を導入することによって、円高のメリットを国内物価の引き下げに反映させるべきであろう。ちょうどこれまで日本の企業に対して助成してきたことを、もっと弱い発展途上国に施し、逆に日本企業と競争させることが日本のためになる時代になったのである。すでに一人前になった息子の入社式や海外出張に教育ママがついていくのがおかしいように、日本の役所がいつまでも生産者の手とり足とりをして、あれはいけない、これはいけないと言い続ける必要はないのである。
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