第30回
一般口座に持ち込んである株券―特定口座に移管する裏技
「株券を証券会社に持ち込んだ上場株式等」、
すなわち、タンス株券や相続した株券を
証券会社に持ち込み預けた場合のその株式や、
別の証券会社から移動してきた上場株式等を
特定口座に移管する際の、
その株式の「取得日」「取得価額」の決め方
ルールを説明しましょう。
1.平成13年9月末までに、証券会社に持ち込んでいる上場株式等
平成13年9月末までに、証券会社に株券を持ち込み、
以後預けてある上場株式等です。
これを特定口座に移管する場合は、
「実際の買付け価格にかかわらず、
『平成13年10月1日の終値の80%』をもって取得価額とする、
取得日は平成13年9月30日とする」というルールになっています。
このルールの適用を受けると、
次のように不利になるケースがあります
(第29回に説明した
「平成4年12月以前に買付けずっと預けてある株式」
のケースと同じです)。
例えば、バブルの時に購入し手元に保管してあったA銘柄を、
その後平成13年9月末までに
証券会社(一般口座)に持ち込んで預けたため、
一般口座から特定口座にそのまま移管すると
取得価額が低くなってしまうケースです。
その時の対応策。
「一般口座」からA銘柄の株券を引き出してから、
「特定口座」に入れる方法です。
株券を1度引き出すと
「タンス株券(顧客が自分で保管している株券)」に変わります。
「タンス株券」は、「取得日」と
「購入価格」が確認できる書類があれば、
実際の購入価額をもって特定口座に入れることができますし、
または、平成15年3月末までに名義書換している場合には、
その名義書換した日を「取得日」とみなして、
「名義書換した日の終値」を「取得価額」とすることもできます。
このような対応をしますと、
「平成13年10月1日の終値の80%」ではなく、
実際の購入価額またはそれに近い価額
(名義書換日を取得日とみなす場合)で
特定口座に入れることができますので、
この対応策を実行することが有効になります。
2.平成13年10月以降、証券会社に持ち込んだ上場株式等
「平成13年10月以降、証券会社に持ち込んだ上場株式等」は
特定口座にそのまま移管することは
できないルールになっています。
これに対する対応策として、
上記「1」のバブル時に購入した取得価額の高い株式と同様に、
一般口座から1度株券を引き出し「タンス株券」とした上で
直接特定口座に入れる方法によることになります。
執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎
|