プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第31回
特定口座に入れた株式の、その後の「取得費」の計算

株式の売却損益を計算するには
税金計算ルールに基づく「取得費」の把握が必要です。

同じ銘柄の株式を買い増しして、
その株式の一部を売るケースの「取得費」は
「個別ひも付き」では考えず、
「総平均法に準ずる方法(いわゆる移動平均法)」で把握します
(株式売却が所得税法に定める「譲渡所得」に該当する場合。
なお、信用取引については平均値をとらず
個別対応により取得費を求めます)。

特定口座内の株式については、
証券会社が「取得費」を計算しますので
個人投資家自身が計算することはありませんが、
計算の理屈は理解しておいた方がよいので、ここで説明いたします。

総平均法に準ずる方法
平成太郎さんが、A銘柄を平成15年4〜6月の3ヶ月間、
特定口座内で毎月1株ずつ計3株購入し、
その後特定口座内で1株(4月購入分)を売却しました。

  購入月 購入銘柄 購入株数 購入価格
平成15年4月 A銘柄 1株 100万円
平成15年5月 A銘柄 1株 150万円
平成15年6月 A銘柄 1株 140万円
合計     3株 390万円

平成太郎さんが売却した
A銘柄株式(4月購入分)1株の「取得費」はいくらでしょうか?

「『売った株券は4月に100万円で買った株券』ですから、
取得費は100万円です」という答えは、バツ。
正解は、売却直前における平均値を出して求めます。
すなわち、売却直前に所有している3株の購入価格合計
390万円を3株で割って算出された金額130万円が取得費です
(390万円÷3=130万円)。

特定口座から株券を引き出してから、
売却する場合の「取得費」は?
では、平成太郎さんが、特定口座から
1株(4月購入分の株券)を引き出して、
その後一般口座で売却しました。
「取得費」はいくらになるでしょうか? 

上記計算と同じく130万円が取得費となります。
特定口座から株券を引き出す場合には、
その株を売却したとみなして(つまり売却した時と同じ要領で)
取得費の計算を行ない、
その計算値が当該引き出した株券の取得費とされるためです。

執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎


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