プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第51回 生前贈与のための新相続税制
新制度理解のために
「贈与税の仕組み(1) ― 年110万円以下は税金ゼロ」

人から無償で財産をもらうと、
もらった人に贈与税がかかります。
但し、もらった財産の金額が「基礎控除」以下であれば
贈与税はかかりません。
贈与税の「基礎控除」は、
もらう側1人あたり1年間に110万円です。

贈与税は「暦年課税」といって、
1月1日〜12月31日までの暦上の1年を単位として課税しますので、
「基礎控除」も1年単位で考えます。
したがって、1月1日から12月31日までの間にもらった財産の
合計額が110万円以下であれば、
その年度は贈与税はかかりませんが、
贈与を受けた金額が110万円を超えた場合には
超えた部分(下図A部分)、
例えば200万円の贈与を受けた場合には
基礎控除の110万円を超えた90万円、に贈与税がかかります。

贈与税の「 基礎控除」は1年毎に110万円ありまして、
毎年使うことができます。
今年、110万円の贈与を受けた場合には、
基礎控除以下ですから税金はゼロであり、
来年さらに110万円の贈与を受けたとしても、
やはり基礎控除以下なので税金はゼロになります。

贈与財産額が基礎控除以下であるかどうかは、
あげる側ではなく、もらう側で判断します。
したがって、例えば同じ年に父、母、祖母の3人から
各々110万円の現金の贈与を受けた場合には
合計で330万円の贈与を受けたことになりますから、
基礎控除額の110万円を超える220万円部分には
贈与税がかかることになります。

なお、「新相続税制」の「相続時精算課税制度」を選択しますと、
上記に説明した贈与税の制度は適用されません。
例えば、父からの贈与については
「相続時精算課税制度」を選択する旨の届け出を行ない、
初年度に2,500万円の贈与を受けると
その年の贈与税はゼロで済みますが、
その翌年に父からさらに200万円の贈与を受けた場合には
上述した基礎控除110万円の制度は使えないことから、
200万円×20%=40万円の贈与税がかかります。

但し既に御存知のようにこの場合の200万円は、
初年度の贈与額2,500万円と合わせて
相続時に相続税の対象になり、
税金の40万円は相続税と相殺して精算されますので、
損をするわけではありません。

次回以降読み進んで頂くとご理解戴けるわけですが、
原則の贈与税制と
新贈与・相続税制(相続時精算課税制度)のどちらが有利か、
どちらを選ぶべきか、はケースバイケースです。
財産が多い方で、且、
その財産の評価額がどんどん増えるようなケースでは
明らかに「新贈与・相続税制」が有利です。

執筆:税理士法人 山田&パートナーズ税理士 壽藤里絵
監修:公認会計士 山田淳一郎


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