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山田淳一郎さんのトクする税金の話

第73回 生前贈与のための新相続税制
自宅購入資金とその他財産を組み合わせた贈与
ケースいろいろ

相続時精算課税制度を選択した場合、
贈与額2,500万円までは
贈与税ゼロで贈与を受けることができます。
また、自宅購入資金(増改築等を含む)の場合には
3,500万円までの贈与は贈与税がゼロとなります。

ただし、自宅購入資金3,500万円、
その他の財産2,500万円それぞれが
非課税になるわけではありません。
全部あわせて最高で3,500万円までです。

また、自宅購入資金と
その他の財産を組み合わせて贈与する場合には、
非課税枠が自宅購入資金非課税特別枠1,000万円と
受贈財産の使途に限定のない非課税枠2,500万円、
合計3,500万円ですから、
3,500万円の贈与を受けた場合でも
一部について贈与税がかかるケースがありますので
注意して下さい。

たとえば、最初に新制度の特例により
自宅購入資金600万円の贈与を行い、その後その他の財産、
つまり、自宅購入資金以外の財産を贈与した場合、
3,500万円から既に贈与済みの600万円を差し引いた
2,900万円まで贈与税がゼロとなるのではありません。

このケースでは、
自宅購入資金非課税枠1,000万円のうちの600万円を
権利行使(非課税枠の残額が400万円)した後に、
使途に制限のない2,900万円の贈与を受けておりますが、
これに対する非課税枠は2,500万円ですので
これをオーバーする400万円に対して
一律20%の税率の贈与税がかかります。

また例えば、一般の新制度を適用して
自宅購入資金以外の財産500万円を贈与し、
その後自宅購入資金を3,000万円贈与した場合には、
3,500万円の全額が非課税になり贈与税がゼロとなります。

2,500万円までの非課税枠は
どんな財産(自宅購入資金を含む)でも適用できますが、
上乗せされる1,000万円の非課税枠は
自宅購入資金だけしか認められていないため、
上記のようなケースが生じるわけです。

執筆:(株)東京ファイナンシャルプランナーズ 税理士 五関幸子
監修:公認会計士 山田淳一郎


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