プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第83回 生前贈与のための新相続税制
新制度を選択して成功
「贈与財産を譲渡する時の所得税が安くなる」

甲さんは今年75歳、
奥様と東京都内の一戸建てにお住まいです。
一方、甲さんの長男夫妻も
甲さん宅の隣地を借りて
15年前に自宅を建てました。

甲さん宅は老朽化が進んでおり、
建て替えを検討中ですが、
資金捻出のために土地を一部売却する必要があります。
そこで、近い将来、
長男宅の敷地となっている隣地を第三者に売却して
甲さん宅を2世帯住宅に建て替えようと計画しています。
自宅(家屋)の処分と
2世帯住宅の同居に賛成してくれた長男夫妻には、
老後の面倒をかけることもあり、
生前贈与をしてあげたいと考えています・・・。

このようなケースでは、
新制度を利用して土地売却時の税負担を少なく、
場合によってはゼロにすることが可能です。
もうお気づきでしょうか、
新制度を利用して長男宅の敷地を
長男に贈与しておけば良いのです。
こうしておけば、長男自身が
自宅(家屋およびその敷地)を売却することになりますので、
居住用財産を譲渡した場合の
「3000万円特別控除の特例」が使えます。

この特例により、
売却価額から取得費と譲渡費用を差し引いた売却利益が
3000万円以下であれば譲渡の税金はかかりません。
売却利益が3000万円を超える場合でも、
土地家屋ともに所有期間が10年を超えていれば
「軽減税率の特例」を併せて利用することが可能、
3000万円控除後の売却利益6000万円までは14%
(所得税10%、住民税4%)、
6000万円超の部分でも20%
(所得税15%、住民税5%)の税負担で済むのです。
贈与財産の取得時期は
贈与者から受贈者に引き継ぐルールになっていますので、
長男における土地建物の所有期間は
いずれも10年超となります。

新制度による贈与を行わず、
甲さん名義のまま売却する場合には、
これらの特例を利用することはできず、
一般の長期譲渡(5年超所有の土地や建物の譲渡)として
控除額100万円、税率26%
(所得税20%、住民税6%)で課税されることになります。

新制度の活用で
譲渡時の税負担に差がでる事例の一つです。

執筆:税理士法人山田&パートナーズ 税理士 佐伯草一
監修:公認会計士 山田淳一郎


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