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山田淳一郎さんのトクする税金の話

第84回 生前贈与のための新相続税制
新制度を選択して成功「贈与した資産がみるみる値上がり」

新制度を利用して贈与した財産は、
贈与時の価額で相続税の計算に
取り込まれることになります。
したがって、
相続発生までの間に贈与した財産が値上がりすれば、
相続税の負担が軽く済む結果となり、
値下がりすれば逆の結果となります。

このデフレ経済環境で
値上がりが見込める財産といっても
簡単ではありませんが、
成長が見込まれる優良な未公開会社の株式などは
贈与すべき財産の筆頭候補です。

こんな会社のオーナーで新制度を早速利用し、
しかも相当な効果が期待できそうな事例を
経験しましたのでご紹介します。

この会社は産業廃棄物の処理加工が主な業務です。
PFI事業(民間で公共施設等の整備を行う、
いわゆるPFI法に基づく事業)に参画することが決まり、
大規模な公共廃棄物処理施設の建設・運営を
任されることになりました。

今期末より稼動、来期以降相当の利益が見込まれ、
中期経営計画(3年後)では売上倍増、
利益3倍増を予定しています。
現時点でも会社純資産は厚いことから
相続税の株価総額は3億円と安くありませんが、
計画どおりなら
今後3年間で株価は少なくとも
5〜6倍になると予想されます。

社長によれば、
計画はむしろ保守的にみていて
実際は大幅に上回る可能性が高いとのこと。
そこで評価額にして1億5000万円もの
思い切った株式の贈与移転を決断し、
納税用の現金3000万円とあわせ
1億8000万円を長男に贈与しました。
贈与税は3100万円(下記算式)となりますが、
不足する100万円は長男自身で納税する予定です。
(株式1億5000万円+現金3000万円−非課税枠2500万円)×20%
 =3100万円

社長がそのまま株式を持ち続け、
仮に株価が5倍となった場合には、
相続税の対象金額は7億5000万円
(1億5000万円×5倍)に膨らみます。
新制度を利用し贈与したことで、
今後はいくら利益があがっても、
相続税の対象金額は1億5000万円で据え置きです
(新制度における贈与財産は
 贈与時点の評価額で相続税の計算に取り込まれることは
 既に皆さん御存知です)。

株主となった子どものためにも
社長はさらに意欲を増して頑張るそうです。

執筆:税理士法人山田&パートナーズ 税理士 佐伯草一
監修:公認会計士 山田淳一郎


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