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山田淳一郎さんのトクする税金の話

第100回 生前贈与のための新相続税制−中級編
贈与後、新制度の申告書提出前に
子どもに相続が発生したら

子供が親から贈与を受け新制度を選択する場合には、
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、
新制度の適用を受ける旨の届出書及び
一定の書類を添付して
贈与税の申告書を提出しなければなりません。

ただし、親からの贈与を受けた子供が
贈与を受けた日以後その年の翌年3月15日までの間に亡くなり、
新制度の適用を受ける旨の届出書等を
提出していなかった場合には、
その子供の相続人は、
次のうちのいずれかを選択する必要があります。
(1)亡くなった子供が受けた贈与財産について新制度を選択する。
(2)亡くなった子供が受けた贈与財産について原則の贈与税制度
   (110万円の基礎控除を適用し、
   控除後の価格に累進税率を適用する)を適用する。

(1) 亡くなった子供が受けた贈与財産について
   新制度を選択する場合

   亡くなった子供の相続人は、
   その子供の相続発生から10ヵ月以内に、
   その子どもが提出すべきであった新制度選択届出書及び
   贈与税の申告書等を提出するとともに、
   納付すべき贈与税がある場合には
   その贈与税を納付しなければなりません。

   このときに「新制度を選択する」ということは、
   子供の相続人全員が
   その子供にかかる新制度の贈与税・相続税の納税義務を
   引き継ぐことを意味します。
   したがって、この届出書を提出するときは、
   相続人全員が署名することになっています。
   相続人のうち1人でも署名しなかった場合には、
   子供が受けた贈与財産について
   新制度を適用することはできません。

(2) 亡くなった子供が受けた贈与財産について
   原則の贈与税制度を適用する場合
   (上記(1)を適用できない場合を含む)

   亡くなった子供の相続人は、
   子供の相続発生から10ヵ月以内に、
   原則の贈与税の申告書を提出するとともに、
   子供が受けた贈与財産の価額から
   贈与税の基礎控除110万円を差し引いた後の課税価格に、
   累進税率(10%〜50%)を乗じて算出した贈与税額を
   納付しなければなりません。

   なお、贈与を受けた後に亡くなった子供の相続人が
   その贈与者だけの場合には、
   (1)を選択することはできませんので、
   (2)の原則の贈与税制度を適用することになります。

   また、子供の相続人が
   (1)、(2)のいずれの申告書等を提出する場合であっても、
   その提出先は子供の死亡時における住所地の
   所轄税務署になります。

執筆:(株)東京ファイナンシャルプランナーズ 税理士 五関幸子
監修:公認会計士 山田淳一郎


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