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山田淳一郎さんのトクする税金の話

第108回 生前贈与のための新相続税制−中級編
新制度を受けた子供が払う相続税、延納は可能

相続税は原則として
納期限までに現金で
一括納付しなければなりませんが、
現金で1度に納付できない事情がある場合には
税務署長の許可を得て
分割払い(延納)することができます。

相続税を延納するということは
国に対して税金をローンで払うということであり、
金融機関に対する場合と同様に
支払期間(延納期間)もあれば
借入金利息(利子税)を支払う必要もあります。
この延納期間や利子税の税率は、
その納税者が取得した
相続財産の中に含まれる不動産等の割合によって
下記(参考2)の表のように異なります。

ところで、子供が親から新制度を利用して
贈与を受けた場合には、
贈与者である親の相続の際に
新制度による贈与を含めたところで
相続税を精算する必要がありますが、
その際に支払うこととなった相続税の納付についても
延納制度を利用することができます。

ただし、新制度による贈与財産に対する相続税を
延納する場合には、
その贈与財産が不動産等であったとしても、
上記の「不動産等の割合」の計算上、
その贈与財産の価額を
不動産等の中に含めることはできません。

したがって、
もし、取得した財産が
新制度による贈与を受けた土地だけであったとしても、
その人がその土地に係る相続税を
延納により精算しようとすれば、
延納期間と利子税率は原則どおりの取り扱い、
つまり延納期間は最長で5年間、
利子税率は年6.0%
(軽減措置により現在は年3.3%)になります。

一方、相続で取得した場合には
不動産等の割合が高いほど
延納可能期間は長くなり、
利子税の税率は低くなります。
仮に土地だけを相続して
延納を適用した場合の延納期間は
最長で20年間、利子税率は年3.6%
(軽減措置により現在は年2.0%)です。

新制度を利用した贈与は、
贈与財産や相続財産に
不動産等が含まれている場合には、
追加相続税を延納する際の条件が
相続で取得した場合よりも
不利になる場合がありますので注意が必要です。

なお、新制度を利用して
相続開始年分に贈与された財産のうちに
不動産等が含まれている場合に限り、
その不動産等の価額は前述の算式上、
分子・分母ともに参入することができます。
その場合には、不動産等の割合により
延納期間と利子税を判定することになります。

(参考1)延納の要件
1.相続税を納期限までに現金で一括納付できない事情があること
2.申告期限までに延納申請書を提出すること
3.相続税額が10万円以上であること
4.原則として、担保を提供すること

(参考2)主な延納期間と利子税
(注)平成12年1月1日以降の期間の利子税率には公定歩合に連動させた軽減措置があります。
   上記特例利子税率は公定歩合が0.1%の場合の税率です。

執筆:税理士法人山田&パートナーズ 税理士 壽藤里絵
監修:公認会計士 山田淳一郎


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