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山田淳一郎さんのトクする税金の話

第110回 生前贈与のための新相続税制−中級編
新制度を受けた子供が相続税を払えない−
他の相続人に連帯納付義務

新制度を利用して生前贈与を受けた場合、
贈与者(親)の相続の際には
新贈与による財産を加えた上で
相続税を精算する必要があります。

たとえ相続時までにもらった財産を
すべて費消してしまった場合でも、
株式投資に失敗した場合、
もらったアパートが焼失してしまった場合などにおいても、
また贈与財産の価値が減少したり
ゼロになってしまった場合でも
その贈与財産を贈与時の価額で
相続財産に加算して相続税を計算し、
そこから既に支払った贈与税を控除した残額を
相続税として納めなければなりません。

贈与財産がなくなってしまった場合に
子供自身の財産で
不足分の納税が可能であればよいのですが、
子供自身の財産では納付できない場合には
その子供以外の相続人が
その子供の相続税を代わりに納付しなければなりません。
これを「連帯納付義務」といいます。

相続税の納付は本来相続により
財産を取得した人が各々納税義務を負いますが、
一方で相続人は
自分が取得した財産の範囲内で
他の相続人の相続税についても
互いに納付の責任を負うこととされているのです。

たとえば、相続人がA、B、Cと3人いて、
そのうちAが相続税を納められない場合には、
他の相続人のB及びCは
もらった財産の範囲内で
Aの相続税を代わりに納付しなければなりません。

新制度を利用した場合、
日本人の平均寿命から考えて
贈与時点から精算(相続)までが
長期にわたることも十分考えられます。
ということは、
その間に贈与財産がすべて費消されてしまったにも関わらず
相続時に存在しない財産に相続税がかかるケースや、
価額の下落により
結果として相続時の時価よりも高い相続税が
かかってしまうケースが発生する可能性があるということです。

いずれの場合も新制度を利用した子供が
相続税を納税できなければ
連帯納付義務により
他の相続人が代わりに納付しなければなりません。
新制度を選択した場合には、
選択した子供の相続税の納税資金について
常に念頭において置くべきと言えそうです。

執筆:税理士法人山田&パートナーズ 税理士 壽藤里絵
監修:公認会計士 山田淳一郎


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